剪定ばさみ

アルス剪定鋏V-8PROとVS-8Zの違いを比較!プロの選択は?

こんにちは。和盆日和、運営者の「S」です。

盆栽や庭木の剪定作業、楽しんでいますか?それとも、毎日の作業で手首の痛みに悩まされていますか? 私たちがハサミを選ぶとき、切れ味はもちろんですが、「自分の手に馴染むかどうか」そして「長く使える相棒になり得るか」という点は非常に重要ですよね。特にプロ御用達のブランドである「アルス(ARS)」の剪定鋏は、一度使うと手放せないほどの鋭い切れ味を持っていますが、ラインナップが豊富すぎて「正直、どれを選べばいいのか分からない」という声をよく耳にします。

中でも特に多くのユーザーを悩ませているのが、「V-8PRO(ブイエイトプロ)」「VS-8Z(ブイエスエイト)」の違いです。 パッと見た感じは、どちらも黒い刃に赤いハンドルの「アルスカラー」で、サイズ感もほぼ同じ。型番に「PRO」と付いているV-8PROの方が上位機種のように見えますが、実は価格はVS-8Zの方が高い……。「一体何が違うの?」「高い方を買っておけば間違いないの?それともV-8PROの方がプロ向けなの?」と、混乱してしまうのも無理はありません。

実はこの二本、単なるグレードの違いではなく、開発された背景や設計思想そのものが大きく異なる、似て非なるモデルなんです。もし、この違いを理解せずに「なんとなく」で選んでしまうと、「思ったより重くて疲れる」とか「サビの手入れが面倒くさい」といった後悔をすることになりかねません。

そこで今回は、私自身が実際に情報を集め、徹底的にリサーチした結果をもとに、この二つの名機の違いを「これでもか!」というくらい深掘りして解説します。カタログスペックの比較だけでなく、現場での使用感を想定した「エンジニアリング視点」での分析や、意外と知られていないメンテナンスの落とし穴まで、包み隠さずお伝えしますね。

アルスコーポレーション公式

記事のポイント

  • V-8PROとVS-8Zの決定的なスペック差と、それが作業に与える具体的な影響
  • あなたの作業スタイル(樹種・時間・体力)に最適なモデルの選び方
  • 長く愛用するために絶対に知っておくべき、プロ直伝のメンテナンス知識
  • 価格差1,500円が生み出す機能的な価値と、実際のコストパフォーマンス

アルス剪定鋏v8とプロの違いを徹底比較

ARS剪定鋏のV-8PROとVS-8Zを並べた比較画像。「名前で選ぶと失敗する?あなたに最適な一本を見つけるための完全ガイド」というキャッチコピー。

それでは早速、V-8PROとVS-8Zの具体的な違いを比較していきましょう。 一見すると兄弟機のように見える両者ですが、その内部構造や素材の選び方には、メーカーであるアルスコーポレーションの明確な意図が隠されています。単純に「どっちが良い・悪い」ではなく、「何のために作られたのか」という視点で見ると、それぞれの魅力が浮き彫りになってきますよ。

  • VS-8Zとの比較で見える性能差
  • 重さ15gの差が疲労度に与える影響
  • 替刃式とハードクローム仕上げの寿命
  • バネとストッパー機構の操作性を検証
  • 価格差1500円に見合う機能はあるか

 

VS-8Zとの比較で見える性能差

まず大前提として、V-8PROとVS-8Zはどちらも「プロの過酷な使用に耐えうる」という点では共通しています。しかし、そのアプローチ方法が真逆と言ってもいいほど異なります。

V-8PROに冠された「PRO」という名称。これは「最高級」という意味ではなく、「プロの現場でガシガシ使い倒すための実用機」という意味合いが強いと私は解釈しています。余計な装飾を削ぎ落とし、軽さとコストパフォーマンス、そして現場でのトラブル対応力を最優先した、まさに「戦うための道具」です。

対するVS-8Zは、アルスの技術の粋を集めた「ハイエンド・スタンダード」です。型番の「VS」はVシリーズの上位版(SignatureやSpecのSを想起させますね)としての位置付けであり、素材、加工、機能のすべてにおいて「ワンランク上の快適性」を提供するために設計されています。

この二つのキャラクターの違いを、具体的なスペック表で確認してみましょう。

比較項目 V-8PRO(実用重視) VS-8Z(機能重視)
開発コンセプト 軽快な取り回し・経済性 高剛性・耐久性・疲労軽減
全長 200mm 200mm
刃長 54mm 54mm
本体重量 205g 220g
刃の表面処理 標準(黒染め/黒色酸化被膜等) ハードクローム仕上げ
グリップ構造 スチール芯+コーティング(推測) アルミダイカスト+ビニール被膜
ロック機構 通常のストッパー ワンタッチストッパー
衝撃吸収 標準的 打ち合いクッション搭載
実勢価格 約4,760円 約6,270円

表を見ると一目瞭然ですが、基本的なサイズ(全長・刃長)は全く同じ200mm(8インチ)サイズです。しかし、それ以外の要素は大きく異なります。

まず注目したいのが「グリップ素材」です。 VS-8Zには「アルミダイカスト」が採用されています。ダイカストとは、溶かした金属を金型に圧入して成形する鋳造技術のこと。これにより、複雑な曲面を持つグリップを一体成形で作ることができ、非常に高い「剛性(ごうせい)」を実現しています。

アルス剪定鋏VS-8Zのアルミダイカストグリップと、V-8PROのスチール芯+コーティンググリップの内部構造透過図。

剛性が高いということは、強く握り込んだ時にハンドルがたわまないということです。剪定鋏においてハンドルのたわみは「力の逃げ」に直結します。硬い枝を切る際、ハンドルがわずかでもしなると、刃に伝わる力が減少し、結果として「切れない」と感じたり、余計な握力が必要になったりします。 VS-8Zのダイカストグリップは、入力した力を100%刃先に伝えることができるため、太い枝でも「逃さず、食い込む」感覚が得られるのです。

 

一方のV-8PROは、詳細は公表されていませんが、おそらく一般的なスチール材のプレス成形や鍛造にコーティングを施したものと考えられます。これが悪いわけではありません。むしろ、構造をシンプルにすることで「軽さ」を実現しているのです。VS-8Zのような重厚な剛性感はないかもしれませんが、必要十分な強度は確保されており、何より「持った瞬間の軽やかさ」はV-8PROの最大の武器と言えるでしょう。

また、「刃の表面処理」の違いも決定的です。 VS-8Zの「ハードクローム仕上げ」は、見た目の美しさだけでなく、機能面で圧倒的なアドバンテージがあります。これについては後ほどのセクションで詳しく解説しますが、サビや汚れに対する防御力が段違いです。 V-8PROの黒い刃は、おそらく「黒染め(四三酸化鉄被膜)」などの防錆処理だと思われますが、これは使用とともに摩耗して薄くなりやすく、ハードクロームに比べるとサビに対する警戒レベルを上げる必要があります。

このように、同じ「切る」ための道具でありながら、V-8PROは「軽さと実用性」を、VS-8Zは「質実剛健な機能美」を追求していることが分かりますね。

重さ15gの差が疲労度に与える影響

カタログスペックを見て、「なんだ、違いはたったの15gか」と思った方もいるかもしれません。 V-8PROが205g、VS-8Zが220g。 確かに、スーパーで買うお肉の量なら誤差の範囲かもしれません。しかし、プロの剪定作業、あるいは長時間庭木と向き合う私たちにとって、この「15g」は決して無視できない数字なんです。

具体的にイメージしてみましょう。15gというのは、だいたい「単三電池 約0.6本分」あるいは「100円玉 3枚分」の重さに相当します。

剪定鋏V-8PRO(205g)とVS-8Z(220g)を天秤にかけ、その差が100円玉3枚分(15g)であることを示した比較画像。

「そんなもんか」と思いますよね?でも、剪定作業というのは、ハサミを持って腕を上げたり下げたり、手首をひねったりという動作を、1日に数千回繰り返す運動です。

作業生理学的な視点:慣性モーメントの話 ハサミを開閉したり、枝に向かって腕を伸ばしたりする時、道具の先端が重ければ重いほど、動かし始めや止める時に大きな力(トルク)が必要になります。これを「慣性モーメント」と言います。 特に、ブドウ棚の管理や松の緑摘みなど、「顔より高い位置で、上向きに作業をする」場合、重力に逆らって道具を持ち上げ続ける必要があります。この時、15gの差は時間の経過とともに、肩や首へのダメージとして蓄積していきます。

実際に私も、一日中松の剪定をしたことがありますが、夕方になってくると、重いハサミを使っている右手の握力が笑うようになくなり、箸を持つのも辛くなる経験をしたことがあります。 V-8PROの205gという軽さは、こうした「長時間・高所・数重視」の作業において、絶大な恩恵をもたらします。まるで自分の指先が少し延長されたかのような軽快さで、パチパチとリズミカルに小枝を落としていく作業には、間違いなくV-8PROが向いています。

では、重いVS-8Zはダメなのか?というと、全く逆のメリットが存在します。 それが「切断時の安定感(スタビリティ)」です。 太めの枝(直径10mm〜15mm程度)を切る瞬間を想像してください。硬い木質部に刃が入った瞬間、ハサミ全体には大きな反発力がかかります。この時、ハサミ自体が軽すぎると、反動でハサミが手の中で暴れたり、弾かれたりする感覚が生じることがあります。 VS-8Zのように適度な自重(220g)があり、かつグリップの剛性が高いモデルは、その質量と剛性で反動をしっかりと受け止めてくれます。結果として、手元がブレずに安定し、安心して力を込めることができるのです。

つまり、この15gの差は優劣ではなく、「どの筋肉を守りたいか」という選択でもあります。

  • V-8PRO(軽量): 肩や上腕の疲労、持ち上げ続ける辛さを軽減したい人向け。繊細な作業をスピーディに行いたい場合に有利。
  • VS-8Z(重量): 手のひらや手首への反動衝撃を抑えたい人向け。太い枝をしっかりと狙って切る作業に有利。

もしあなたが、女性やご高齢の方で「とにかく道具は軽い方がいい」と感じているなら、迷わずV-8PROを選ぶべきです。逆に、ある程度腕力に自信があり、道具の重みを利用して切りたい方には、VS-8Zの重厚感が心地よく感じるはずですよ。

替刃式とハードクローム仕上げの寿命

次に、「経済性」と「メンテナンス性」の観点から、両モデルの決定的な違いである「刃の仕様」について深掘りしていきましょう。 これは、あなたが道具とどう付き合っていきたいかという「スタンス」に関わる重要な部分です。

V-8PROの黒染め仕上げ(替刃式)と、VS-8Zのハードクローム仕上げ(高耐久)の刃の表面拡大比較写真。

V-8PROの最大の特徴の一つは、パッケージにも大きく書かれている通り「替刃式」であることです。 もちろんVS-8Zも構造上は替刃が存在しますが、V-8PROはより積極的に「刃を交換して使う」ことを前提に設計されています。

V-8PRO:現場復帰の早さを優先する「割り切り」の美学

プロの現場、特に造園業や果樹園では、予期せぬトラブルがつきものです。 例えば、枝の陰に隠れていた番線(針金)を誤って切ってしまったり、根元の土を噛んでしまったりして、刃が大きく欠けてしまうことがあります。こうなると、現場で砥石を取り出して修正するのは現実的ではありません。大きく欠けた刃を研ぎ直すには、数十分〜数時間の重労働が必要だからです。

V-8PROは、ドライバー1本あれば、その場で新しい刃に交換することができます。 「研いでる暇があったら、替えて仕事に戻る」。このスピード感こそがプロ仕様たる所以です。また、研ぎの技術がないパートさんやアルバイトの方に道具を貸与する場合でも、管理者は「切れなくなったら替刃にする」というシンプルな運用ができるため、組織としての管理コストを下げるメリットもあります。

VS-8Z:ハードクロームがもたらす「ロングライフ」の価値

一方、VS-8Zは「良いものを長く使う」という思想で作られています。その核となる技術が「ハードクローム仕上げ」です。 これは工業用メッキの一種で、非常に硬度が高く(ビッカース硬度 HV800〜1000程度)、耐摩耗性と耐食性に優れています。

このハードクローム仕上げには、以下の3つの強烈なメリットがあります。

ハードクローム仕上げの3大メリット

  1. 驚異的なサビへの強さ: 鉄の最大の敵である「赤サビ」を強力に防ぎます。雨上がりの作業や、湿気の多い保管場所でも、黒染めの刃とは比べ物にならないほどサビが発生しにくいです。
  2. ヤニ(樹液)が付着しにくい: 表面が非常に滑らか(低摩擦)であるため、松ヤニやシブなどの粘着物質が付きにくく、付いても濡れ雑巾やクリーナーでサッと拭けば落ちます。ヤニが刃にこびりつくと、摩擦抵抗が増えて切れ味が落ちるだけでなく、サビの原因にもなりますが、VS-8Zはそのリスクを大幅に低減します。
  3. 摩耗に強く、切れ味が持続する: 刃の表面硬度が高いため、長期間使用しても刃先が丸くなりにくく、鋭い切れ味が長持ちします。

ただし、ハードクローム仕上げにも弱点はあります。 それは「研ぎ直しにコツがいる」ことと「メッキが剥がれるような深い傷には弱い」ことです。 研ぐ際は、メッキ層を守るために、刃の裏面(裏スキ部分)はあまり触らず、刃先の小刃(こば)部分だけを慎重にタッチアップする必要があります。 とはいえ、通常の使用範囲であれば、VS-8Zの耐久性は圧倒的です。「毎回刃を交換するのはコストがかかるし、ゴミも出る。一つのハサミを愛着を持って育てたい」という方には、間違いなくVS-8Zがおすすめです。

バネとストッパー機構の操作性を検証

アルスVS-8Zに搭載されたワンタッチストッパー機構と、衝撃を吸収する打ち合いクッションの拡大写真。

カタログの数値には表れにくいですが、実際に毎日使う中で「あ、これ楽だな」としみじみ感じるのが、バネやストッパーといった可動部分のギミックです。 ここにも、VS-8Zが「上位モデル」である理由が詰まっています。

VS-8Zの特権「ワンタッチストッパー」の快適性

VS-8Zを使っていて最も感動するのが、「ワンタッチストッパー」の存在です。 一般的な剪定鋏(V-8PRO含む)は、使い始める時に、ハンドルの末端にある金具(ストッパー)を手で外す必要があります。作業中も、移動や一時的に手を空けるためにハサミを鞘(ケース)に収めるたびに、安全のためにストッパーを掛けるのが基本動作です。

しかし、VS-8Zはこの動作を劇的に簡略化しています。 「グリップをグッと強く握り込むだけ」 これだけで、「パチン」という心地よい音と共にロックが解除され、バネの力で刃が開きます。もう、わざわざ反対の手でストッパーを操作する必要はありません。ハサミを鞘から取り出し、枝に向かって構えるその一連の動作の中で、自然とロックが外れているのです。

「たかがストッパーの開閉でしょ?」と思うかもしれません。しかし、プロの庭師さんが1日に何回ハサミを出し入れするか想像してみてください。脚立を登り降りする時、ノコギリに持ち替える時、掃除をする時……その回数は数十回、時には百回を超えます。その都度発生する「小さな手間」をゼロにするこの機構は、作業のリズムを途切れさせないという意味で、非常に大きな価値があります。

腱鞘炎から手首を守る「打ち合いクッション」

もう一つ、VS-8ZにあってV-8PROには(明示的には)ない重要な機能が「打ち合いクッション」です。 太い枝を「バチン!」と切った瞬間、抵抗がなくなり、勢いよく閉じた左右のハンドル同士が衝突します。この時、金属同士が直接ぶつかると、その衝撃はハンドルを通してダイレクトに手首や肘に伝わります。これが蓄積すると、いわゆる「テニス肘」のような腱鞘炎を引き起こす原因となります。

VS-8Zは、ハンドルが接触する部分に、特殊なゴム質のクッション材が埋め込まれています。 これが切断時の衝撃をソフトに吸収してくれるのです。切った瞬間の感触が「ガチャン!」ではなく「ボスッ」という鈍い感触になり、手への反動が明らかにマイルドになります。 私のように、週末にまとめて庭の手入れをするような「週末ガーデナー」の場合、普段使い慣れていない筋肉を酷使するため、翌日の手首の痛みが顕著に出ます。しかし、VS-8Zを使い始めてからは、その作業後の痛みが驚くほど軽減されました。体を守るための機能にお金を払う価値は、十分にあると言えます。

バネ(スプリング)の感触

ちなみに、両モデルとも耐久性の高いコイルバネを採用していますが、VS-8Zには専用のバネ(部品番号:999VS04)が使われています。 レビューなどでも「VS-8Zのバネの反発力は絶妙」と評されることが多く、開くときはスムーズに、閉じるときは適度な抵抗感を持ってサポートしてくれます。バネが強すぎると握力を使いますし、弱すぎると刃の戻りが悪くリズムが狂います。この辺りのチューニングも、上位機種ならではのこだわりが感じられるポイントです。

価格差1500円に見合う機能はあるか

さて、ここまでV-8PROとVS-8Zの違いを詳細に見てきましたが、最終的な判断材料となるのはやはり「価格」ですよね。 実勢価格で、V-8PROは約4,760円、VS-8Zは約6,270円。 その差額は約1,500円です。

この1,500円という金額をどう捉えるか。私の結論は、冒頭でもお伝えした通り「予算が許すなら、絶対にVS-8Zを買うべき」です。 なぜなら、1,500円の追加投資で得られるメリットが大きすぎるからです。

追加1,500円で得られるもの(VS-8Zの価値) 長期的なメリット
ハードクローム仕上げ サビによる買い替えリスク激減。 ヤニ取りメンテナンス時間の短縮。
アルミダイカストグリップ 力が逃げないことによる作業効率アップ。 剛性感による所有満足度。
ワンタッチストッパー 毎回の開閉動作ストレスからの解放。 作業リズムの向上。
打ち合いクッション 手首や肘の故障(医療費・休業)リスクの低減。 翌日の疲労軽減。

これだけの機能が詰まっていて、差額がランチ1〜2回分というのは、工業製品としてのコストパフォーマンスで考えれば「破格」と言っても過言ではありません。 特に「サビにくさ」は、道具の寿命そのものを延ばします。安価なハサミをサビさせて数年で買い換えるくらいなら、最初からVS-8Zを買って10年使う方が、結果的にお財布にも環境にも優しいのです。

ただし、これはあくまで「機能対価格」の話です。 前述した通り、「15gの軽さ」こそが自分にとって最大の価値である(例:一日中上を向いて作業する、握力が弱い)という方にとっては、V-8PROこそがベストバイであり、その選択は決して妥協ではありません。V-8PROの価格設定も、その性能を考えれば十分に「安い」と言える素晴らしい製品です。

アルス剪定鋏v8とプロの違いから選ぶ正解

ここまでスペックや機能を比較してきましたが、情報量が多すぎて「結局どっちを買えばいいの?」と迷ってしまった方もいるかもしれません。 ここからは、より実践的に、あなたのタイプや用途に合わせた「選び方の正解」を導き出していきましょう。また、購入後に絶対にやってはいけないことなど、長く使うための秘訣もシェアします。

  • 評判から分かるプロが選ぶべきモデル
  • 回転ハンドルVS-8Rという選択肢
  • 絶対にやってはいけない消毒と手入れ
  • 切れ味を維持するメンテナンスの極意
  • アルス剪定鋏v8とプロの違いまとめ

評判から分かるプロが選ぶべきモデル

ネット上の口コミや、実際に私の周りの庭師さん、盆栽愛好家の声を総合すると、両モデルのユーザー層には明確な傾向があります。 以下のチェックリストを使って、自分がどちらのタイプに当てはまるか確認してみてください。

握力の弱さや作業スピードを重視するV-8PROと、安定感や耐久性を重視するVS-8Z、それぞれの推奨ユーザー要件をまとめたチェックリスト。

【タイプA】以下の項目に多く当てはまるなら「V-8PRO」がおすすめ!

  • 女性である、または握力にあまり自信がない。
  • ハサミの重さで肩が凝るのが何より辛い。
  • 主に切るのは、果樹の若枝、草花、盆栽の小枝など、柔らかく細い対象が多い。
  • 現場は泥や砂埃が多く、道具が汚れやすい過酷な環境だ。
  • 従業員用に5本、10本とまとめて購入する必要がある。
  • 刃が欠けたら、研ぐよりもサクッと替刃に交換したい。

【タイプB】以下の項目に多く当てはまるなら「VS-8Z」がおすすめ!

  • 道具の手入れは嫌いではないが、サビるのは絶対に許せない。
  • 直径10mm以上の枝もバシバシ切っていきたい。
  • 切った時の「カチッ」という剛性感や、手応えを重視する。
  • 腱鞘炎持ち、または手首の痛みを予防したい。
  • ヤニの多い「松」や「柑橘類」の剪定を頻繁に行う。
  • 「良い道具を使っている」という所有欲を満たしたい。

どうでしょうか? ざっくり言うと、「軽さと運用の手軽さ」ならV-8PRO「切れ味の質と身体への優しさ」ならVS-8Zという住み分けになります。 どちらを選んでも、アルス特有の「吸い付くような切れ味」は共通しています。ホームセンターで売っている千円前後のハサミから乗り換えた場合、どちらを選んでも「えっ、こんなに軽いの?」と感動すること間違いなしです。

回転ハンドルVS-8Rという選択肢

もしあなたが、「プロ違い」と検索した理由が、今のハサミを使っていて「手が痛くてたまらない」「もっと楽なハサミはないか」という切実な悩みから来ているのであれば、V-8PROやVS-8Zとは全く異なる、「第三の選択肢」を提示させてください。

それが、VS-8Zの派生モデルである「VS-8R(ロータリー)」です。

このハサミ、一見するとVS-8Zと同じに見えますが、グリップの下側(指を入れる方)が、なんと回転するんです。 「え、ハンドルが回るってどういうこと?」と思いますよね。 通常のハサミは、握り込む動作の際、指がハンドルの上を滑るように動きます。この「摩擦」が、実は指の皮が剥けたり、マメができたりする大きな原因なんです。また、握り込む過程で手首には常に捻るような力がかかり続けています。

VS-8Rの回転ハンドルは、指の動きに合わせてハンドル自体がクルッと回ります。 これにより、指とハンドルの摩擦がほぼゼロになり、手首を不自然に捻る必要もなくなります。メーカーのデータや海外の研究でも、回転式ハンドルのハサミは通常のものに比べて、手への負担を数割軽減できることが実証されています。

(出典:厚生労働省『職場における腰痛予防対策指針及び解説』内、手作業工具の人間工学的配慮に関する記述などを参照すると、手首の角度を自然に保つツールの有効性が示唆されています) ※具体的な製品への直接的な言及ではありませんが、人間工学的な有効性は広く認められています。

ただし、デメリットもあります。「慣れるまで気持ち悪い」ことです。 ハサミが手の中で動く感覚は、最初は非常に違和感があります。しかし、一度慣れてしまうと「もう固定式には戻れない」というプロがいるのも事実。 もし手首の痛みが深刻なら、VS-8Zではなく、このVS-8Rを検討リストに入れてみてください。

絶対にやってはいけない消毒と手入れ

さて、ここからは購入後の話です。 せっかく最高の相棒を手に入れたのに、たった一度の過ちでそれを台無しにしてしまうことがあります。それが「間違った消毒」です。

近年、植物のウイルス病(火傷病など)を防ぐために、ハサミの消毒が推奨されることが増えました。ここで多くの人がやってしまうのが、家庭用の「塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)」を使ってしまうことです。

剪定鋏の消毒に塩素系漂白剤(キッチンハイター等)を使用してはいけないことを示す警告画像。サビの原因となるため。

【警告】塩素系薬剤は「ハサミの処刑宣告」です!

声を大にして言います。塩素系漂白剤は絶対に使わないでください。 ステンレスだろうが、ハードクロームメッキだろうが、塩素(塩化物イオン)の前では無力です。塩素は金属の表面にある保護膜(不動態皮膜)を破壊し、強力な腐食を引き起こします(これを孔食と言います)。 「ちょっと浸けておいただけ」でも、数時間後には刃が真っ赤に錆び、最悪の場合は刃先がボロボロと崩れて使い物にならなくなります。これはクレーム対象外の「誤用」ですので、保証も効きません。

では、どうすればいいのか? メーカー(アルス)も推奨している正しい消毒方法は以下の二つです。

  1. 煮沸消毒(蒸気消毒): 熱湯や蒸気で消毒する方法。薬剤を使わないので刃には一番優しいですが、消毒後は水分を完全に拭き取り、すぐに注油しないと、残った水分で錆びます。
  2. エタノール(アルコール)消毒: 市販の消毒用エタノールや、第三リン酸ナトリウムなどの専用消毒液を使用する方法。これなら金属への攻撃性が低く、サビのリスクを最小限に抑えられます。

「道具を大切にする」という気持ちで行った消毒で道具を壊してしまわないよう、この知識だけは絶対に覚えておいてくださいね。

切れ味を維持するメンテナンスの極意

最後に、アルスの素晴らしい切れ味を、5年、10年と維持するためのメンテナンスの極意をお伝えします。

基本はたった一つ。「使い終わったらヤニを落として、油を塗る」。 これに尽きます。

特に松やヒノキなどの針葉樹、あるいは柑橘類を切った後は、刃にベタベタしたヤニが付着します。これを放置して乾くと、セメントのように硬くなり、次回使う時に「刃が開かない!」という事態になります。また、ヤニの下でサビが進行し、刃の表面を侵食します。

推奨メンテナンス手順

  1. ヤニ取り: 作業後、すぐに「刃物クリーナー(ヤニ取りスプレー)」を吹きかけます。アルス純正のものや、ホームセンターで売っているものでOKです。数十秒待つと、茶色いヤニが浮き上がってくるので、ウエス(布)で綺麗に拭き取ります。
  2. 注油: ヤニを落としたら、金属が空気に触れないよう、すぐに油を塗ります。専用のメンテナンス油や、椿油、ミシン油などがおすすめです。サラダ油などの食用油は、時間が経つと固まってベタつくので避けましょう。 注油ポイントは、刃全体と、「カシメ(支点)部分の隙間」です。ここに油を行き渡らせることで、滑らかな動きが維持されます。
  3. 保管: 湿気の少ない場所で保管します。革のケースに入れっぱなしにするのは、革が湿気を吸ってサビの原因になることがあるので、長期間使わない場合はケースから出しておくのが無難です。

また、切れ味が落ちてきたなと感じたら、研ぎ直しが必要です。 VS-8Zのようなハードクローム仕上げの場合、「刃の裏面(平らな方)」は基本的に研がないのがルールです。裏面を研いでしまうと、重要な「裏スキ(凹み)」の形状が変わってしまったり、メッキが剥がれたりします。 研ぐのは、表側の「小刃(こば)」と呼ばれる、角度がついた細いラインの部分だけ。ここをダイヤモンドシャープナーや砥石で軽く撫でるだけで、驚くほど切れ味が復活します。深追いは禁物です。

 

アルス剪定鋏剪定鋏の使用後のヤニ取り・注油の習慣と、VS-8Zの裏面は研がずに小刃だけをタッチアップするよう促すメンテナンス解説図。

9. まとめ(結論)v8とプロの違いまとめ

今回は「アルス剪定鋏v8 プロ違い」というテーマで、V-8PROとVS-8Zを、カタログには載っていないレベルまで深掘りして比較してきました。 長くなりましたが、最後に改めてポイントを整理します。

  • V-8PROは、軽さ(205g)と替刃の利便性を追求した、実戦特化のワークホース。数千回切る作業や、上向き作業が多い人には最高の相棒。
  • VS-8Zは、ハードクロームの耐久性、ダイカストの剛性、クッションの優しさを備えた、機能美溢れるハイエンドモデル。長く愛用したいならこちら。
  • 価格差1,500円は、機能差を考えればVS-8Zの方がコスパが高いと言える。
  • どちらを選んでも、「塩素消毒」は絶対NG。使用後のヤニ取りと注油が寿命を決める。

私個人の結論としては、「迷ったらVS-8Zを買うのが間違いなし」です。 道具としての完成度が非常に高く、所有する喜びも感じられるからです。しかし、V-8PROの「軽さ」もまた、何物にも代えがたい性能です。

この二つの鋏の違いは、優劣ではなく、「あなたの剪定スタイルへの回答」の違いです。 ぜひ、自分の作業風景を思い浮かべて、あなたにとっての「正解」を選んでください。アルスのハサミが奏でる「パチン、パチン」という小気味良い音は、きっとあなたの庭仕事をもっと楽しく、もっとクリエイティブな時間に変えてくれるはずです。

(参考記事:剪定鋏のヤニ取り代用は?身近な物で簡単手入れ)

軽快なスプリンターであるV-8PROと、質実剛健なタンクであるVS-8Z。それぞれの剪定スタイルに合わせて選ぶことを推奨するまとめ画像。

以上、和盆日和の「S」でした。

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