盆栽

盆栽は何年かかる?スタート別の年数と寿命を解説

盆栽は何年かかる?スタート別の年数と寿命を解説

和盆日和

こんにちは。和盆日和、運営者の「S」です。

「盆栽は何年かかるんだろう?」って、すごく素朴な疑問ですけど、いざ始めようと思うと一番気になるところですよね。盆栽って、なんだかすごく時間がかかるイメージがありますし、実際どうなんだろう?と。

盆栽は種から始めたら一体どうなるのか、園芸店で見かける苗木からならどのくらいなのか。そもそも盆栽の寿命ってどのくらいで、いつ「完成」するものなのか。あと、自分がいまこの年齢から始めても間に合うのかな…なんてことも気になったりします。

この記事では、そんな「盆栽と時間」に関する色々な疑問について、スタート方法別の年数から、ちょっと哲学的な「完成」の話まで、私なりに詳しくまとめてみました。盆栽を始める第一歩として、ぜひ参考にしてみてくださいね。

記事のポイント

  • スタート方法(種、苗、購入)で何年かかるか
  • 盆栽の「寿命」と「完成」についての考え方
  • 盆栽を始めるおすすめの年齢や費用の目安
  • 代表的な樹種(松や桜)による成長速度の違い

盆栽は何年かかる?答えは4つの時間軸に

「盆栽は何年かかる?」というこの一つの疑問。実はこれ、人によって求めている答えが違う、すごく奥が深い問いなんですよね。私なりに解釈すると、この疑問には少なくとも4つの「時間軸」が含まれているかなと思います。

  1. 「鑑賞」できるまで何年?(ゼロから育てて形になるまで)
  2. 「寿命」は何年?(どれくらい生き続けるのか)
  3. 「完成」まで何年?(理想の形になるまで)
  4. 「習熟」まで何年?(技術を覚えるまで)

ここでは、「何から始めるか」や「何をゴールとするか」で劇的に変わる、この「盆栽と時間」の核心について、一つずつ詳しく見ていきましょう。

盆栽は種からだと何年?

盆栽は種からだと何年?

和盆日和

盆栽を「種(実生・みしょう)」から育てる。これは、盆栽の楽しみ方の中で、間違いなく最も時間がかかる方法ですね。まさに壮大なロマンです。

まず、種を蒔いてから最初の1〜3年。この時期は、まだ盆栽鉢には植えません。幹を効率よく太らせるために、あえて畑や大きめのプラスチック鉢で育てる「肥培(ひばい)管理」という期間になります。この段階では鑑賞価値はほぼゼロで、「盆栽」というより「木の赤ちゃん」を育てる感覚に近いかなと思います。

そこから、ようやく「ミニ盆栽」として形を作り始め、「それらしい」姿になって鑑賞できるようになるまでに、だいたい5年〜10年くらいは見ておく必要があるようです。

さらに、盆栽の魅力である「古さ」や「風格」、つまり幹が根元から先端に向かって自然に細くなる「コケ順」や、樹皮が古木のように荒れてくる状態になるには……最低でも20年以上の歳月が必要になると言われています。60歳で始めたら80歳…本当にすごい世界ですよね。

種から育てる最大のメリット

こんなに時間がかかるなら意味がないかというと、そんなことはありません。種から育てる最大のメリットは、盆栽の鑑賞ポイントとして非常に重要な「根張り(ねばり)」、つまり地表を這う力強い根の姿を、最初から理想的に作れることだそうです。

まさに「時間」そのものを自分の手で育てる、最も贅沢な楽しみ方だと思います。

苗木から育てる場合の年数

苗木から育てる場合の年数

和盆日和

園芸店やホームセンター、盆栽園などで売られている「苗木(ポット苗)」からスタートする方法です。これが現実的には最も一般的で、多くの人がここから盆栽ライフを始めるんじゃないかなと思います。私も最初はそうでした。

まず知っておきたいのは、私たちが「苗木」として手にするものも、すでに生産者さんの手で3年〜5年ほどの時間を経ているケースがほとんどだということ。つまり、種から育てる場合に比べて、その分の時間をすでに短縮できている(買っている)わけですね。

この苗木を盆栽鉢に植え替えて、剪定や針金かけで樹形を整えながら育てていくと、だいたい購入してから3年〜5年ほどで「ミニ盆栽」として十分に鑑賞できる姿になってきます。

もちろん、そこから中品・大品盆栽として風格を持たせるには、さらに10年単位の培養が必要になりますが、自分の手で「育てる」喜びと、盆栽の基礎技術を学ぶ楽しさを一番実感しやすいのが、この苗木からのスタートかなと私も思います。

補足:購入という選択肢(時間をお金で買う)

もちろん、「育てる時間」をさらに短縮し、すでにある程度仕立てられた盆栽や、何十年も畑で太らされた「荒木(あらき)」と呼ばれる素材を「購入」する方法もあります。

これはまさに「時間をお金で買う」という選択肢ですね。購入したその日から、完成された(あるいは、それに近い)樹形を鑑賞できるのが最大のメリットです。

盆栽の値段って、基本的には「重ねた年月(樹齢)」にほぼ比例すると言われています。価格が数千円のものから、中には家が買えるような数百万円、数千万円というものまで存在するのは、そこに「他者がかけた圧倒的な時間」が凝縮されているからなんですね。奥が深いです。

ミニ盆栽が鑑賞できるまで

「何十年も待てない!」「まずはベランダや室内で手軽に楽しみたい」という方には、やっぱり「ミニ盆栽」(一般的に樹高20cm以下)が人気ですよね。

ミニ盆栽が鑑賞できるようになるまでの年数は、これまで見てきたスタート地点によって変わってきます。ここで一度、情報を整理してみましょう。

スタート方法 「ミニ盆栽」として鑑賞できるまでの目安 特徴
A. 実生(種)から 約5年〜10年 根張りを理想的に作れるが、最も時間がかかる。
B. 苗木から 約3年〜5年 最も一般的。数年で形になり、育てる喜びを味わえる。
C. 完成品を購入 0年(即日) 「時間をお金で買う」選択肢。すぐに鑑賞できる。

こうして見ると、やはり「苗木から」というのが、コストと時間のバランスが一番良いかもしれませんね。数年で形になってくるので、盆栽の楽しさや剪定、植え替えといった基礎技術を学ぶのにもピッタリだと思います。

盆栽の寿命はどのくらいか

「何年かかるか」という疑問を、「寿命は何年か」と捉えると、話のスケールが一気に、それこそ桁違いに大きくなります。

私も盆栽について調べるようになって本当に驚いたんですが、盆栽の寿命は、適切な管理(植え替え、剪定、水やり)を続ける限り、数百年、中にはなんと千年を超えるものもあるそうです。

例えば、埼玉県の蔓青園さんには樹齢1000年を超えると科学的に証明された真柏(シンパク)が存在すると言われていますし、東京都の春花園BONSAI美術館さんには樹齢約800年と推定される盆栽が展示されているとか…。

公的な美術館の所蔵品

こうした個人の盆栽園だけでなく、公的な施設である「さいたま市大宮盆栽美術館」にも、樹齢推定1000年の「真柏(しんぱく)」や、樹齢450年の「五葉松 銘 日暮し」といった、歴史的な名品が数多く所蔵されています。(出典:さいたま市大宮盆栽美術館 公式サイト コレクションページ)

これらはもはや一個人の所有物を超えた、文化的な遺産ですよね。

これらの事例が示すように、盆栽は、人の一生を遥かに超えて生き続ける、世代を超えて受け継がれていく趣味なんだなと、改めて感じさせられます。

盆栽に「完成」はあるか

盆栽に「完成」はあるか

和盆日和

じゃあ、盆栽はいつ「完成」するんでしょうか? 何十年、何百年とかけて、理想の形になったら、それで終わりなのでしょうか。

これも盆栽の面白いところで、実は盆栽の世界には「最終的な完成」という概念がないそうなんです。

なぜなら、盆栽は絵画や彫刻といった「時間が止まった芸術」とは根本的に異なり、今この瞬間も生きている「生き物」だからです。どれだけ理想の姿になったと思っても、次の日には新しい枝が伸び、葉が茂り、その姿を刻一刻と変えていきます。

盆栽における「完成」とは、特定のゴール地点(Product)を指すのではなく、その木と向き合い、手入れを続ける「プロセス(Process)」そのものを楽しむこと、なんだそうです。

剪定や針金かけ、植え替えといった日々の手入れを通じて、「今、この瞬間の最も美しい姿」を引き出してあげること、それこそが「今日の完成」だという価値観なんですね。

樹齢1000年の盆栽でさえ、博物館の剥製ではなく、今も生きているからこそ専門家による毎日のお世話を必要としています。

なんだかすごく哲学的ですけど、その「終わらないこと」自体が、盆栽という趣味の最大の魅力なのかもしれないなと、私は思います。

「盆栽は何年かかる」以外の疑問Q&A

「盆栽と時間」については、ここまで見てきた「スタート地点」や「寿命」以外にも、色々と気になる疑問がありますよね。

「樹種によって違うの?」「始める年齢は?」「結局お金は?」「技術を覚えるのは?」…などなど。私も気になった点をQ&A形式で、もう少し詳しくまとめてみました。

「盆栽は何年かかる」以外の疑問Q&A

和盆日和

松や桜など樹種による違い

「何年かかるか」の感覚や、育てる楽しさは、選ぶ「樹種」によっても大きく変わってきますね。代表的なタイプを3つご紹介します。

松柏類(五葉松、黒松、真柏など)

五葉松(ゴヨウマツ)や黒松(クロマツ)などに代表される松の仲間は、「盆栽の王道」とも言われます。常緑で、荒々しい幹肌や風格が出やすいのが特徴です。

ただし、成長は非常にゆっくりです。風格が出やすい反面、幹が指の太さになるまでに10年近くかかることも珍しくありません。逆に言えば、樹形が急に崩れにくいので、じっくりと剪定や針金かけの技術を学ぶのには向いているかもしれませんね。(五葉松(ゴヨウマツ)の育て方についてはこちらの記事でも詳しく解説しています

雑木類(モミジ、ケヤキ、ブナなど)

モミジやケヤキといった、新緑や紅葉など四季の変化を鮮やかに楽しめるのが雑木類(ぞうき)です。日本の里山のような、やさしい雰囲気が魅力ですね。

松柏類に比べて、成長が格段に早いのが特徴です。苗木からでも3年〜5年で枝が茂った涼しげな姿を楽しむことができます。ただし、成長が早いということは、剪定を怠るとあっという間に樹形が乱れてしまうということでもあります。手入れの頻度は松柏類よりも多くなる傾向がありますね。

花もの・実もの(桜、梅、カイドウなど)

桜(サクラ)や梅(ウメ)、ヒメリンゴなどのように、美しい花や可愛らしい実を鑑賞の主目的とする分野です。開花期は本当に華やかですよね。

成長速度は「中程度」といったところでしょうか。花や実がつくまでの年数(苗木から3〜5年程度)は比較的早いですが、その花や実が映えるような「古木感」のある幹になるまでには、やはり10年以上の時間が必要になってきますね。(桜盆栽の育て方についてはこちらでまとめています

盆栽を始める年齢はいつか

盆栽というと、どうしても「年配の方の趣味」「シニアの楽しみ」というイメージが強いですよね。私自身も、そう思っていました。

でも、いろいろ調べてみると、多くのベテラン愛好家の方が「もっと早くから始めておけばよかった」と口にしているそうなんです。

なぜか? それは、ここまで見てきた「盆栽にかかる時間」と「人間の寿命」のズレ、いわゆる「ライフサイクルのミスマッチ」が原因なんですね。

先ほども触れましたが、盆栽が本格的な風格を帯びるには、種からだと最低でも20年以上の歳月が必要です。もし60歳で種から始めたら、木がようやく成熟する頃にはご自身が80歳になってしまいます。

一方で、例えば30代や40代といった比較的若い時期から始めるとどうでしょう。

自分の人生が成熟していく40〜50年という長い時間と、樹木が本格的に成熟していく時間を、ほぼ同期させて楽しむことができます。

「時間」を敵ではなく味方につけられること。これこそが、若いうちから盆栽を始める最大のメリットなんだと、私も強く感じます。

盆栽にかかる費用について

「盆栽って高いんでしょ?」「結局、お金がかかる趣味なんじゃない?」というのも、よくある疑問かなと思います。

これに対する答えは、「スタート方法によります」というのが一番正確ですね。「お金をかけずに(時間をかけて)始める」ことも、「お金で(時間を)買う」ことも、どちらもできる趣味なんです。

お金をかけずに(時間をかけて)始める場合

安く始めるなら、園芸店やホームセンターで1,000円程度の苗木からでも余裕で始められます。道具も、最初は100円ショップの工作用ハサミやピンセットで代用することも不可能ではありません。この場合、必要なのはお金ではなく「自分の時間」を投資することになります。(盆栽に必要な道具についてはこちらで詳しくまとめています

お金で(時間を)買う場合

逆に、何十年、何百年と年季の入った「名品」と呼ばれる盆栽を購入する場合、その価格はまさに青天井です。これは「時間」そのものを購入しているため、当然とも言えますね。

費用の注意点(必ずお読みください)

ここで紹介している費用(1,000円程度など)は、あくまで私が調べた範囲での一般的な目安です。盆栽園やオンラインショップによって価格は本当にピンキリですし、こだわり始めると「盆栽鉢」や専門の「道具」にも費用がかかってきます。

まずはご自身の予算を決め、無理のない範囲で始めるのが一番だと思います。正確な価格や必要な道具については、購入を検討している販売店や、盆栽教室の先生などにご相談ください。

盆栽の技術習得にかかる時間

盆栽の技術習得にかかる時間

和盆日和

木をただ育てるだけでなく、それを「盆栽」という芸術作品として仕立てるには、やはり専門の技術(剪定、針金かけ、植え替えなど)が必要になりますよね。

この技術を身につけるのにも、当然ながら時間がかかります。一朝一夕にはいきません。

あくまで一般的な目安ですが、技術の習熟にはこんな段階があるようです。

  • 段階1(〜1年): 基本管理の習得
    まずは水やり、日照管理、肥料のタイミングなど、木を「枯らさない」ための基本的な管理技術を学ぶ時期です。これが一番大切ですよね。
  • 段階2(1〜3年): 基礎技術の習得
    木の成長に合わせて、植え替えや、基本的な剪定、簡単な針金かけなど、木を「形作る」ための基礎技術を学ぶ時期です。
  • 段階3(3〜5年): 応用技術の習得
    樹種ごとの異なる特性(松はこう、モミジはこう、など)を深く理解し、それに応じた高度な剪定や、樹形を大きく変更する「改作」といった応用技術に挑戦する時期です。

気が遠くなるような作業に思えるかもしれませんが、まさに「忍耐力」と、日々のわずかな変化を見逃さない「観察力」が求められる世界ですね。

でも、この技術の習熟も、樹形の変化と同じで「終わりがない」からこそ、生涯の趣味として奥深く楽しめるんだろうなと思います。

まとめ:「盆栽は何年かかる」の答え

ここまで、「盆栽は何年かかる」という一つの疑問について、本当に色々な角度から見てきました。

結論として、「盆栽は何年かかる」という問いの答えは、「あなたが盆栽と、どう付き合いたいかによって決まる」…ということかなと思います。

あなたの選ぶ「時間」はどれですか?

  • 0年: 完成した美を「所有」し、すぐに鑑賞する(購入)
  • 5年〜10年: 変化していくプロセスを「楽しむ」(苗木から)
  • 20年〜: 木の人生そのものを「共創」する(種から)
  • 100年〜: 木の悠久の寿命を「継承」し、次の世代へ手渡す

盆栽は、単なる植物栽培ではありません。それは「時間」そのものを小さな鉢の上に凝縮し、手入れという「対話」を通じて、自然の雄大さと生命の尊さを学ぶ、とても哲学的で奥深い趣味なんだと、私は感じています。

この記事が、あなたの「盆栽と時間」に関する疑問を解消し、一歩を踏み出すための何かのヒントになれば、とても嬉しいです。

以上、和盆日和の「S」でした。

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