
和盆日和
こんにちは。和盆日和、運営者の「S」です。
剪定作業が終わった後のハサミ、そのまま道具箱に片付けてしまっていませんか。実は、剪定ばさみ使用後のケアを怠ると、刃に付着した樹液が固まって動きが悪くなったり、大切な植物にウイルスを媒介してしまったりするリスクがあるんです。
せっかく手に入れたお気に入りの道具を長く愛用するために、ヤニ取りや消毒、頑固な錆び取りの方法、さらには代用できる家庭用品や正しい保管のコツまで、私が普段から実践しているメンテナンス術を分かりやすくお伝えしますね。
この記事を読めば、次に使うときも新品のような切れ味で作業を始められるようになるはずです。
記事のポイント
- 剪定ばさみに付着した頑固なヤニや汚れを効率よく落とす具体的な手順
- 大切な植物を病気から守るために欠かせないウイルス消毒の正しい知識
- 切れ味が落ちてしまった刃を自分で手軽に研ぎ直すためのポイント
- サビを防いで長期間道具のコンディションを良好に保つ保管のテクニック

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剪定ばさみ使用後の汚れを落とすヤニ取りと消毒

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剪定ばさみ使用後、刃の表面がベタベタしていたり、茶色い汚れがこびりついていたりすることはありませんか?まずは、金属の劣化を防ぎ、植物の健康を守るために必要な「洗浄」と「消毒」のステップから詳しく見ていきましょう。
- 刃物クリーナーを使った効果的なヤニ取りのコツ
- クレンザーやスチールウールでの物理的な洗浄
- 第三リン酸ナトリウムやビストロンでの消毒
- 刃の硬度を保つための適切な除菌と消毒の選択
- 市販の薬剤で深部のサビを落とす錆び取り技術
- 酢と塩を代用して錆を浮かせる手軽な修復法
刃物クリーナーを使った効果的なヤニ取りのコツ

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剪定作業を行うと、植物の導管から溢れ出た「ヤニ」や「シブ」がどうしても刃に付着します。これらは多糖類や樹脂、タンニンなどを含む複雑な混合物で、空気に触れて乾燥すると、驚くほど強固な皮膜を形成してしまうんですね。この皮膜が恐ろしいのは、単に見た目が汚くなるだけでなく、接着剤のように作用してハサミの開閉を重くし、さらには吸湿性があるために、その下の金属をじわじわと腐食させてしまう点にあります。
そこで私が日常的に活用しているのが、アルカリ成分を含んだ専用の刃物クリーナーです。一般的な洗剤では落ちにくい樹脂成分を化学的に分解し、鹸化(けんか)させることで、金属表面から汚れを浮かせてくれます。使い方のコツとしては、ただ吹きかけるだけでなく、汚れの層が厚い場合はスプレーした後に30秒から1分ほど「待ち」の時間を作ることかなと思います。成分が奥まで浸透するのを待ってから拭き取ると、力を入れずともスルッとヤニが落ちてくれますよ。ヤニ取は以前まとめた剪定鋏のヤニ取り代用は?身近な物で簡単手入れでも触れていますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
クリーナー使用時の効率的な手順
作業効率を上げるためには、ハサミを全開にした状態で、支点となるボルト(カシメ)部分にもしっかりクリーナーを吹き込むのがポイントです。汚れがひどい時は、キッチンペーパーを刃に巻き付け、その上からたっぷりクリーナーを染み込ませる「パック」をすると、頑固な汚れもふやけて落としやすくなります。最後は、成分が残らないように乾いた布でしっかりと拭き上げてくださいね。
冬場の剪定など、ヤニの粘度が低い時期や汚れが軽い場合は、クリーナーを染み込ませたウエス(ボロ布)を用意しておき、作業の合間にサッと刃を拭うだけでも、後片付けが劇的に楽になりますよ。
クレンザーやスチールウールでの物理的な洗浄
化学的なクリーナーだけではどうしても太刀打ちできないほど、何年も積み重なって硬化した「年季の入ったヤニ」には、物理的なアプローチが必要になります。こうした場合には、家庭用の粉末クレンザーやスチールウール、あるいはサビ取り用の消しゴムなどが非常に役立ちます。粒子が細かい研磨剤を使うことで、金属表面の凸凹に入り込んだ汚れを物理的に掻き出すわけですね。
ただし、ここで注意したいのは「刃の鋭さ(エッジ)」を損なわないようにすることです。特にスチールウールを使用する際は、刃先(切断に直接関わる部分)を強くこすりすぎると、意図せず刃先を丸めてしまい、切れ味が落ちる原因になります。あくまで刃の「平(たいら)」の部分や側面を中心に磨くのがコツかなと思います。クレンザーを使う場合は、少量の水を混ぜてペースト状にし、古歯ブラシなどで円を描くように磨くと、細部の汚れまで綺麗に落とせます。
物理洗浄のリスクとケア
物理的に汚れを削るということは、目に見えないレベルで金属表面に細かな傷をつけていることでもあります。磨き終わった直後はピカピカに見えますが、そのままにしておくとその傷が湿気を呼び、新たなサビの拠点になってしまうことも。そのため、物理洗浄を行った後は、普段以上に念入りな水分除去と、後述する油による保護膜形成が欠かせません。「磨いたら守る」までをワンセットとして考えておきましょう。
| 洗浄ツール | 得意な汚れ | 注意点 |
|---|---|---|
| 刃物クリーナー | 新しいヤニ、シブ | アルカリ性のため肌荒れ注意 |
| スチールウール | 固着した厚い汚れ | 刃先の丸まり、微細な傷 |
| クレンザー | 広範囲の薄い汚れ | 研磨後の十分な水洗いが必要 |
第三リン酸ナトリウムやビストロンでの消毒

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庭仕事において、私たちが最も警戒すべきなのは、目に見えない「植物ウイルス」の存在です。例えば、クリスマスローズやラン、バラなどの愛好家にとって、ハサミを介したウイルスの伝染はまさに致命的。一度感染してしまうと治療が難しく、株ごと処分しなければならないケースも少なくありません。剪定ばさみは、いわば感染した植物の組織液を健全な株に直接注入する注射器のような役割を果たしてしまうんです。
そこで重要になるのが、第三リン酸ナトリウム(リン酸三ナトリウム)を用いた化学的な消毒です。園芸業界では「ビストロン-10」などの製品名で知られており、これを10%濃度で使用することで、タバコモザイクウイルスなどの非常に安定したウイルスですら不活化させることが可能とされています。プロの農家さんや植物園でも、一株切るごとにハサミを消毒液に浸すのが常識となっているんですよ。
効果を最大化するための前処理
消毒を行う前に絶対忘れてはいけないのが、先ほど説明した「ヤニ取り」です。刃に汚れ(有機物)が付着したままだと、消毒液がウイルスに直接接触できず、効果が半減してしまいます。しっかり洗浄した後に、薬液に数分間浸漬するか、十分に液を塗り広げてください。なお、第三リン酸ナトリウムはアルカリ性が強いため、使用後は必ず水で洗い流し、水分を完全に拭き取る必要があります。そのまま乾くと白い結晶が残り、刃の動きを妨げたり、金属を腐食させたりする原因になるからです。植物病理学的な観点からも、道具の衛生管理は非常に高い価値があります。
(出典:農林水産省 植物防疫所『植物検疫について』)
刃の硬度を保つための適切な除菌と消毒の選択
消毒の方法として、家庭で手軽に思いつくのが「熱湯消毒」や「ライターの火で炙る」といった熱による方法かもしれません。しかし、刃物メンテナンスの観点から言うと、これは慎重になるべき選択です。剪定ばさみの多くは、適切な切れ味と耐久性を出すために「焼き入れ」という熱処理が施されています。鋼を特定の温度まで加熱し、急冷することで硬度を高めているわけですが、ここに中途半端な熱を加えてしまうと「焼き戻り」が起きてしまい、金属がなまって柔らかくなってしまうリスクがあるんです。
せっかくの名品も、一度焼きが戻ってしまえば、どんなに研いでもすぐに切れ味が落ちる「使えないハサミ」になってしまいます。そのため、私はできるだけ薬剤による消毒をおすすめしています。アルコール(エタノール)による消毒も一般的ですが、実はアルコールは「エンベロープ」を持たない一部の植物ウイルスには効果が薄い場合があるんです。もちろん、細菌類の除菌には有効ですが、ウイルス対策まで見据えるなら、やはり前述の第三リン酸ナトリウムに軍配が上がります。
現場で使い分ける消毒の目安
日常の軽微な作業後ならアルコールスプレーでサッと拭く程度でも良いかもしれませんが、病気が疑われる株や、高価なコレクション株を扱う際は、迷わず専用の薬剤を選んでください。また、最近では刃物メーカーが開発した、防錆効果を兼ね備えた除菌スプレーなども市販されています。自分のスタイルに合わせて、道具の寿命(硬度維持)と衛生管理のバランスが取れる方法を選びたいですね。
煮沸消毒を行う場合は、長時間ぐつぐつと煮込むのではなく、必要最低限の時間に留め、急激な温度変化(急冷など)を避けるようにしましょう。ただし、基本的には薬剤消毒の方が刃物への負担は少ないですよ。
市販の薬剤で深部のサビを落とす錆び取り技術

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もし大切にしていたハサミがサビで覆われてしまい、「もうダメかも…」と思っても、諦めるのはまだ早いです。重度のサビには、チオグリコール酸塩などを含む市販の強力なサビ取り剤が非常に効果を発揮します。これらの薬剤は、酸化鉄(サビ)と反応して水溶性の錯体に変化させ、化学的にサビを「溶かして」くれます。物理的に削り落とすのと違い、健全な金属部分を過剰に傷つけることなく、深い凹凸に入り込んだサビの根までアプローチできるのが最大のメリットです。
作業の手順としては、まず大まかな泥汚れを落とし、水分を拭き取った状態でサビ取り剤を塗布します。塗った直後から、サビと反応して液が紫や黒に変化していく様子は、科学実験のようで少し面白いかもしれません。そのまま製品指定の時間(30分程度が目安)放置した後、使い古しの歯ブラシなどで軽くこすると、ボロボロとサビが落ちて、本来の金属の地肌が見えてくるはずです。
サビ落とし後の「中和」が運命を分ける
ここが最も重要なのですが、サビ取り剤を使用した後は、これでもかというくらい丁寧に水洗いを行ってください。多くの薬剤は強力な化学物質を含んでいるため、わずかでも残留していると、作業の翌日にはさらにひどいサビ(戻りサビ)が発生してしまうことがあります。水分を拭き取った後は、すぐにドライヤーなどで乾燥させ、間髪入れずに防錆油を塗布することが、サビからハサミを救い出す唯一の道です。
サビによって表面に深い「あばた(凹凸)」ができてしまった場合は、サビを落とした後に細かめのサンドペーパーで表面を整えてあげると、その後のメンテナンスがしやすくなりますよ。
酢と塩を代用して錆を浮かせる手軽な修復法
「専用のケミカルを買うほどではないけれど、なんとか家にあるものでサビを落としたい」という場合に知られているのが、「お酢と塩」を使ったDIYメンテナンスです。実はこれ、単なるおまじないではなく、化学的な理屈に基づいた方法なんです。酢に含まれる酢酸が酸化鉄を溶解し、そこに塩(塩化ナトリウム)が加わることで塩素イオンの働きがサビの層を破壊するスピードを早めてくれるんですね。
具体的な方法は、容器にハサミが浸かる程度のリンゴ酢や穀物酢を入れ、そこにたっぷりの粗塩を溶かします(塩が溶け残るくらいが目安です)。そこにハサミを沈め、約3日間ほど放置します。時間はかかりますが、徐々にサビがふやけて浮き上がってきます。市販品ほどの即効性はありませんが、化学薬品特有の強い臭いや刺激が苦手な方には、比較的取り組みやすい方法かもしれません。
家庭用代用法のリスク管理
ただし、この方法は非常に高い腐食性を伴う環境を意図的に作り出しています。そのため、放置しすぎるとサビだけでなく、正常な金属部分まで激しく腐食してしまう(過腐食)恐れがあります。毎日様子を確認し、サビが十分に浮いたらすぐに取り出してください。また、塩分は金属にとって最大の敵ですから、取り出した後は重曹水などで酸を中和し、さらに流水でこれでもかと塩分を洗い流す必要があります。手間はかかりますが、家庭にあるものでボロボロのハサミが蘇る瞬間は、なかなかの感動ものですよ。
剪定ばさみ使用後の性能を維持する研ぎ方と保管
汚れとサビが落ちてスッキリしたハサミ。しかし、それだけではまだ「本来の道具」としての力は戻っていません。ここからは、スパッと気持ちよく切れる刃先を再生し、その状態を長く保つための「攻めと守り」のメンテナンスについてお話ししますね。
- ダイヤモンドシャープナーによる正しい研ぎ方
- 切断力を再生させる裏面の丁寧なバリ取り工程
- 椿油や専用メンテナンス油による防錆と保護
- 新聞紙や防錆紙を活用した湿度を抑える保管
- 総括:剪定ばさみ使用後のルーチンで道具を長持ちさせる
ダイヤモンドシャープナーによる正しい研ぎ方
ハサミを研ぐというと、大きな砥石を準備して…という重労働を想像されるかもしれませんが、現代の剪定ばさみ手入れの主役は、間違いなくダイヤモンドシャープナーです。板状や棒状の金属に工業用ダイヤモンドの粒子を付着させたこのツールは、とにかく手軽。鋼だけでなく、ステンレスや硬質クロムメッキの刃も簡単に削ることができます。特にバイパスタイプの剪定ばさみは刃がカーブしているため、平らな砥石よりもコンパクトなシャープナーの方が圧倒的に扱いやすいんです。
研ぎ方の極意は、とにかく「角度を一定に保つこと」に尽きます。ハサミをよく見ると、刃先に向かって斜めに削られている部分(ベベル)がありますよね。その角度を崩さないように、シャープナーを当て、支点から刃先に向かって優しく一方通行で滑らせます。何度も往復させるのではなく、スッ、スッ、と一定の力で撫でるイメージです。このとき、刃を事前に油や水で少し濡らしておくと、削りカスが詰まりにくく、スムーズに作業が進みますよ。研ぎの基本や植物への影響については、以前まとめた剪定の基礎知識の記事でも触れていますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
研ぐタイミングの見極め
「いつ研げばいいの?」という質問をよく受けますが、私は「切れ味に違和感を覚える前」に軽く当てるのがベストだと思っています。刃先が完全に丸まってからでは、修正に多大な労力がかかりますが、作業の終わりに数回シャープナーを通すだけの「タッチアップ」を習慣にすれば、常に最高のコンディションを維持できます。研ぎ上がりの目安は、刃先を光に当てた時に、刃の先端がキラリと光らず、スッと線が消えるような状態になれば成功です。
ダイヤモンドシャープナーには番手(粒度)があります。日々の手入れなら#600〜#1000程度の細かめのもの、サビや欠けを直すなら#400程度の粗めのもの、というように使い分けるとより完璧ですね。
切断力を再生させる裏面の丁寧なバリ取り工程

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実は、剪定ばさみを研ぐ際に最も多くの人が失敗し、かつ最も重要な工程がこの「裏研ぎ」ならぬ「バリ取り」です。刃の表側(傾斜がある面)を研ぐと、その先端部分に目に見えない金属のめくれが発生します。これを「バリ」や「返り」と呼びます。このバリが残ったままだと、どんなに一生懸命研いでも、実際に枝を切った時にバリが邪魔をして、切り口がボロボロになったり、ハサミが食い込んだりしてしまうんです。
バリを取る方法は非常に繊細です。ハサミの裏面(受け刃と接する平らな面)にシャープナーを「完全に水平に」当てます。ここでもし角度をつけて研いでしまうと、刃の裏側に余計な角度(小刃)がついてしまい、受け刃との間に隙間ができてしまいます。そうなると、もう枝は切れません。薄い紙すら切れない「噛み込みハサミ」に成り下がってしまいます。あくまで「裏面に付いたゴミを払う」くらいの軽い気持ちで、平らに当てて一撫でするだけに留めてください。
試し切りのチェックポイント
バリ取りが終わったら、身近なもので切れ味を確認してみましょう。私がよくやるのは、コピー用紙やティッシュペーパーを切ってみることです。剪定ばさみは本来、厚い枝を切るものですが、本当に正しく研げていれば、薄い紙も抵抗なくスッと切れるはずです。もし紙が途中でグニャリと折れてしまうようなら、バリが残っているか、刃の角度が寝すぎている証拠です。納得いくまで調整してみましょう。この繊細な手入れが、植物へのダメージを最小限に抑える「美しい切り口」を生み出すんですね。
椿油や専用メンテナンス油による防錆と保護

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メンテナンスの最終局面、汚れを落として研ぎ上げたハサミは、いわば「生まれたての無垢な金属」の状態です。このまま放置すれば、空気中のわずかな湿気と反応して、数時間後には目に見えないレベルの酸化が始まってしまいます。そこで不可欠なのが、油によるコーティング(空気の遮断)です。園芸の世界で古くから愛用されているのは「椿油(つばきあぶ)」ですね。椿油は不乾性油といって、空気に触れても固まりにくく、かつ酸化もしにくいという、刃物の保護には理想的な特性を持っています。
私が椿油を好んで使うもう一つの理由は、それが「天然由来」であるという点です。剪定ばさみは直接植物の傷口に触れる道具ですから、あまりに強力な防錆剤や化学薬品が残留していると、植物への影響が心配になります。その点、椿油なら安心感がありますよね。刃全体に薄く塗り広げるのはもちろんのこと、意外と忘れがちなのが「可動部」です。ハサミの中央にあるボルト周辺や、バネの隙間に一滴注油して何度か開閉させてみてください。驚くほど動きが滑らかになり、長時間の作業でも手が疲れにくくなるはずです。道具選びの基本については、こちらの盆栽道具のページでも詳しく解説しています。
潤滑油の使い分けと注意点
「家にあるサラダ油でもいい?」と聞かれることもありますが、一時的な代用ならともかく、長期保管にはおすすめしません。食用のサラダ油やオリーブオイルは、時間が経つと空気中で「重合」という反応を起こし、ベタベタしたガム状に変質してしまうからです。これがカシメ部分で固まると、ハサミが動かなくなってしまうことも。また、防錆潤滑スプレー(WD-40やKURE 5-56など)は浸透性が高く、動きを良くするには最適ですが、揮発性が高いため長期間の防錆膜としては少し心許ない面があります。日常の潤滑はスプレー、長期保管は椿油、というように使い分けるのがスマートかなと思います。
| オイルの種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 椿油(天然油) | 酸化しにくい、植物に優しい | 専用品は少し高価 |
| ミシン油(鉱物油) | 安価、防錆力が非常に高い | 植物への影響がゼロではない |
| シリコンスプレー | ベタつかない、浸透が良い | 膜が薄く、長期間の防錆には不向き |
新聞紙や防錆紙を活用した湿度を抑える保管
「手入れは完璧!あとは棚に置くだけ」…ちょっと待ってください。実は保管場所の環境こそが、次回の作業の快適さを左右するんです。日本の気候は湿度が高く、特に物置やガレージは湿気が溜まりやすい場所。そのまま置いておくと、せっかく塗った油の隙間から湿気が入り込み、気づいた時には点サビが出ているなんてことも。そこで私がおすすめしたいのが、「新聞紙」や「防錆紙(ぼうせいし)」に包んで保管するという一工夫です。
新聞紙は非常に優秀な保管資材です。紙自体に適度な吸湿性があり、さらに印刷に使われているインクの油分が、金属を優しく保護してくれます。ハサミを一本ずつ新聞紙でくるっと巻いておくだけで、外気との接触が遮断され、サビの発生率がグッと下がります。もっと本格的に守りたいなら、工業的にも使われている防錆紙(VCI紙)を導入してみましょう。この紙には気化性の防錆剤が含まれており、包むだけで成分がガス状になって金属表面に吸着し、目に見えないバリアを作ってくれる優れものです。これなら、バネの奥まった部分など、油が塗りにくい場所までしっかりガードできます。
保管場所の選定と整理
保管場所としては、できるだけ「温度変化が少なく、風通しの良い、地面から離れた場所」を選んでください。地面に近い場所は湿気が上がりやすいためです。また、ハサミを革製のケース(シース)に入れたまま長期間保管するのも、実はあまりおすすめしません。本革はタンニンなめしの成分や湿気を保持しやすいため、そのままにしておくと逆に刃を錆びさせてしまうことがあるからです。ケースはあくまで作業中の持ち運び用。長期間休ませる時は、「紙に包んで、風通しの良い乾いた箱へ」。これが、職人さんも実践する鉄則です。
複数のハサミを持っている場合は、包んだ新聞紙の上にマジックで「剪定鋏(大)」「芽切鋏」などと書いておくと、次に使う時に迷わず取り出せて便利ですよ。
総括:剪定ばさみ使用後のルーチンで道具を長持ちさせる

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ここまで、剪定ばさみ使用後のメンテナンスについて、かなり深掘りしてお話ししてきました。「え、こんなにやることがあるの?」と驚かれたかもしれませんが、一度セットを揃えてしまえば、一回あたりの作業時間はほんの数分です。剪定という行為は植物の命を整える素晴らしい時間ですが、そのための「道具を整える時間」もまた、園芸の楽しみの大きな一部だと私は考えています。道具が整うと、自然と自分の心も整い、作業への集中力も高まっていく気がするんですよね。
最後に改めてお伝えしたいのは、メンテナンスは「愛情のバロメーター」であるということです。手入れをされたハサミは、使うたびに手に馴染み、植物の切り口を美しく保ち、結果としてあなたの庭や盆栽をより健康に、より豊かにしてくれます。この記事が、お手元の剪定ばさみとより長く、より良い関係を築くための一助になれば、これほど嬉しいことはありません。
安全と自己責任について
なお、サビ取り剤や消毒液などの化学薬品を使用する際は、必ず製品の裏面にある注意書きを読み、換気を良くして作業してください。特に酸やアルカリの強い薬剤は、目や皮膚に入ると大変危険です。また、ハサミを研ぐ際は刃先に十分注意し、深追いしすぎて指を切らないよう気をつけてくださいね。最終的なメンテナンスの判断や手法の選択は、ご自身の道具の種類や状態に合わせて、自己責任のもと慎重に行っていただくようお願いいたします。不安な場合は、メーカーの修理・研ぎ直しサービスを利用するのも立派なメンテナンスの選択肢の一つですよ。
それでは、素晴らしい和盆日和をお過ごしください。運営者の「S」でした!

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