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盆栽を始める際、鉢選びは楽しみの一つですが、同時に「盆栽鉢はどこで買うのが最適か」と悩む方も多いでしょう。
盆栽鉢は、本格的な盆栽鉢専門店はもちろん、カインズのような盆栽の鉢も扱うホームセンターでも見つかります。
最近では、盆栽鉢を100 均ショップで探す人や、ミニ盆栽鉢から始めたいという需要も増えています。また、盆栽の鉢を安い価格で手に入れるために中古品を探したり、盆栽鉢の産地である愛知(常滑焼など)まで足を運ぶことを検討する方もいるかもしれません。
この記事では、それぞれの購入場所の特徴と、自分に合った鉢の選び方を詳しく解説します。
記事のポイント
- 盆栽鉢が購入できる主な実店舗の特徴
- 通販や中古品など安く手に入れる方法
- ミニ盆栽鉢や産地(愛知)での探し方
- 購入失敗を防ぐための選び方の基準
盆栽鉢どこで買う?主な実店舗5選

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- 専門店の特徴と選び方
- ホームセンターで買える?
- カインズの取り扱い
- 100均でも購入可能か
- 愛知(産地)で探す
専門店の特徴と選び方

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盆栽鉢を求める上で、最も確実で高品質な選択肢が盆栽鉢専門店です。これは大規模な盆栽園に併設されている売店や、鉢だけを専門的に取り扱う老舗の店舗などを指します。
最大のメリットは、その圧倒的な品揃えと、店主やスタッフが持つ専門知識です。盆栽は樹木と鉢が一体となって初めて一つの作品と見なされるため、鉢選びは非常に重要です。専門店では、育てたい樹木の種類(松柏類、雑木類、花物など)やサイズ、目指す樹形(直幹、模様木、懸崖など)を伝えるだけで、最適な鉢を提案してもらえます。
また、有名作家が手掛けた一点物、長年の使用で独特の風合いが出た「時代乗り」の良い古鉢(こばち)、あるいは特定の産地にこだわった鉢(常滑焼、信楽焼、丹波立杭焼など)といった、他では手に入らない逸品に出会える可能性が最も高い場所です。盆栽の歴史や文化に触れたい方にも適しています。(参考:さいたま市大宮盆栽美術館)
一方、デメリットとしては、品質と専門性が高い分、価格帯も高めに設定されている点が挙げられます。また、長年の愛好家が集う専門店ならではの雰囲気があり、初心者の方は「こんな初歩的なことを聞いていいのだろうか」と、少し敷居が高く感じてしまうかもしれません。
ホームセンターで買える?

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はい、多くのホームセンターの園芸コーナーやガーデニング用品売り場で、盆栽鉢を購入できます。特に郊外型の大型店舗では、専門コーナーが設けられている場合もあります。
ホームセンターの最大の魅力は、その手軽さと価格の安さにあります。専門店に行くのは少し気が引けるという方でも、日常の買い物のついでに気軽に立ち寄ることができます。価格も数百円から数千円程度のものが中心で、初心者の方が最初の一個を選ぶ場所として最適です。
さらに、盆栽用の土(赤玉土、鹿沼土、桐生砂など)や肥料、剪定ばさみ、針金といった関連道具類を一度に全て揃えられる点も、これから盆栽を始める方にとっては大きなメリットです。
ただし、デメリットとして、専門的な鉢や高品質な作家物、デザイン性に富んだ鉢の取り扱いは期待できません。あくまでも「汎用的な園芸用品の一部」として置かれていることが多く、品質やデザインの選択肢は限られます。入門用として基本的なプラスチック鉢や、量産型のシンプルな陶器鉢が中心となります。
カインズの取り扱い

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大手ホームセンターの中でも、カインズ(CAINZ)は、プライベートブランド(PB)商品を含め、園芸用品に非常に力を入れている企業の一つです。そのため、盆栽鉢の取り扱いも比較的豊富です。
カインズの店舗では、シンプルなデザインの陶器鉢(無釉・釉薬)や、軽量で安価なプラスチック鉢、そして現代の住宅事情にもマッチするようなモダンなデザインの鉢も見つかることがあります。特に、ミニ盆栽に適した小さなサイズの鉢の品揃えに力を入れている店舗も多いようです。
価格帯も手頃なものが中心で、初心者の方が「まずは気軽に始めてみたい」というニーズにしっかり応えてくれます。また、公式オンラインストアでも多くの園芸用品を扱っており、店舗で実物を見てからオンラインで購入する、あるいはオンラインで目星をつけてから店舗に確認しに行く、といった使い分けも便利です。
店舗規模による品揃えの違い
カインズに限らず全てのホームセンターに言えることですが、盆栽鉢の品揃えは店舗の規模や立地(都市部か郊外か)によって大きく異なります。小規模な都市型店舗では取り扱いが非常に少ない場合もあるため、訪れる前にオンラインストアで在庫状況や取り扱い商品をチェックしておくと確実です。
100均でも購入可能か

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結論から言うと、「盆栽専用鉢」として販売されていることは稀ですが、100円ショップ(ダイソー、セリア、キャンドゥなど)の園芸コーナーにある小さな鉢を、盆栽鉢として代用することは全く問題なく可能です。
特に、豆盆栽(指先に乗るような極小サイズ)やミニ盆栽、あるいは多肉植物を小さく仕立てたい場合に、100均の小鉢は非常に人気があります。デザインもシンプルな素焼き風のものから、和モダンな色合いの陶器風のものまで多様化しており、侮れません。最大のメリットは、もちろん110円(税込)という圧倒的な低価格で、失敗を恐れずに色々な鉢を試せる点です。
100均の鉢を利用する際の絶対的な注意点
100均の鉢は盆栽専用ではないため、致命的な欠点を持っていることがあります。それは「鉢底の穴」です。
- 穴が小さすぎる: 盆栽は排水性が命です。穴が小さいと水が抜けず、根腐れの原因になります。
- 穴が開いていない: デザイン重視の鉢カバーとして売られている場合、そもそも穴がありません。
購入時には必ず鉢底を確認してください。もし穴が小さい、または開いていない場合は、必ずキリや電動ドリルなどで穴を開けるか、既存の穴を広げる加工が必要です。また、当然ながら耐久性や通気性は専門の鉢に劣るため、本格的に長く育てるのには向きません。「お試し用」と割り切るのが良いでしょう。
愛知(産地)で探す

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もし、あなたが盆栽鉢に強いこだわりを持ち、特別な一品を探しているのであれば、思い切って産地に足を運ぶのも素晴らしい選択肢です。特に愛知県は、日本を代表する盆栽鉢の産地として非常に有名です。
愛知県の常滑焼(とこなめやき)は、盆栽鉢の代名詞的な存在であり、その品質の高さと種類の豊富さで国内外に知られています。常滑焼の鉢、特に「朱泥(しゅでい)」と呼ばれる赤褐色の無釉鉢は、通気性・排水性・保水性のバランスが絶妙で、植物の生育に非常に良いとされています。(出典:常滑陶磁器卸商業協同組合)
常滑市内には多くの窯元や陶器店、専門店が集積しており、「やきもの散歩道」などを散策しながら、作家と直接話をしながら、他では見られないような多様な鉢を選ぶことができます。
また、現地で定期的に開催される陶器市やクラフトフェアなどのイベントでは、規格外品やB級品が通常よりも安価で手に入ることもあります。盆栽愛好家であれば、一度は訪れてみる価値がある聖地と言えるでしょう。
その他の有名な盆栽鉢の産地
愛知県の常滑焼のほかにも、日本には有名な焼物の産地が多数あり、それぞれが個性的な盆栽鉢を生産しています。
- 信楽焼(しがらきやき・滋賀県): 粗い土の質感が特徴で、素朴で力強い風合いの鉢が多いです。
- 万古焼(ばんこやき・三重県): 耐久性が高く、特に紫泥(しでい)と呼ばれる紫がかった褐色の鉢が有名です。
- 瀬戸焼(せとやき・愛知県): 釉薬を使った美しいデザインの鉢も多く生産されています。
盆栽鉢どこで買う?通販と選び方

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- 安く買う方法
- 中古で探すメリット
- ミニ盆栽鉢を選ぶときの注意点
- 素材や形状の選び方
- まとめ:盆栽鉢どこで買う?専門店から100均まで完全ガイド
安く買う方法

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盆栽鉢をできるだけ安く手に入れたい場合、前述のホームセンターや100均の活用に加え、インターネットを賢く利用するのが最も効率的です。主に以下の方法が挙げられます。
インターネット通販(ECサイト)
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ECサイトでは、多種多様な盆栽鉢が販売されています。実店舗を持たないネット専業のショップも多いため、価格競争が働きやすく、実店舗よりも比較的安価に設定されていることが多いです。
メリット: 価格の比較が容易で、全国のショップの商品を自宅にいながら探せます。セール時期やポイント還元を狙うと、さらにお得に購入できます。
デメリット: 実物の色合い、質感、正確な大きさが掴みにくいことです。特に陶器は一点一点風合いが異なるため、写真と実物のイメージが違う可能性もあります。
フリマアプリ・オークション
メルカリやヤフオク!などのプラットフォームは、安く鉢を手に入れるための強力な選択肢です。個人が趣味で集めた鉢を出品しているケースや、業者がアウトレット品を格安で販売していることもあります。「盆栽鉢 中古」だけでなく、新品未使用品が思わぬ低価格で出品されることもあります。
メリット: 市場価格より大幅に安く買える「掘り出し物」に出会える可能性があります。
デメリット: 基本的に中古品であり、個人間取引のため、傷や汚れの状態確認、梱包・発送に関するトラブルのリスクが伴います。
陶器市や盆栽園の即売会
前述の通り、産地や盆栽園が主催するイベントでは、通常価格よりも安く鉢が販売されることがあります。交通費や時間はかかりますが、実物を見て選べる安心感と、お祭りのような雰囲気を楽しむことができます。
中古で探すメリット

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盆栽鉢を中古(古鉢)で探すことには、単に「安い」という以上の、盆栽特有の深いメリットが存在します。それは、新品には決して出せない「風合い(時代感)」や「希少性」です。
最大のメリットは、もちろん価格です。新品では高価で手が出ないような有名作家の鉢や、すでに廃盤となった希少な鉢が、手頃な価格で手に入る可能性があります。
しかし、それ以上に愛好家が中古鉢を求める理由は、長年使い込まれたことによる独特の「味」や「時代感」にあります。雨風にさらされ、苔むし、表面が滑らかになった鉢は、植えられた樹木の古さや風格(「古色」と言います)を一層引き立ててくれます。この風合いを出すために、新品の鉢をわざと屋外で何年も風化させる愛好家もいるほどです。
中古鉢のデメリットと厳重な注意点
中古品にはリスクが伴います。購入前によく確認してください。
- 傷やヒビ: 写真では分かりにくい、小さなヒビ(「ニュウ」と呼ばれることもあります)や欠けが入っているリスクがあります。説明文を熟読し、不明点は出品者に質問しましょう。
- 病気や害虫のリスク: 前の使用者がどのような土で何を育てていたか不明です。土中に病原菌や害虫の卵が残っている可能性もゼロではありません。
中古鉢を入手した場合、使用前に必ず高圧洗浄機などで古い土を徹底的に洗い流し、熱湯をかけて消毒するか、専用の薬剤で殺菌することを強く推奨します。
ミニ盆栽鉢を選ぶときの注意点

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ミニ盆栽鉢は、そのコンパクトさ(一般的に高さ10cm程度まで)ゆえに非常に人気がありますが、通常の盆栽鉢とは比較にならないほど管理が難しくなります。見た目の可愛らしさだけで選ぶと、あっという間に植物を枯らしてしまう原因にもなりかねません。
最大のポイントは、水管理の極端な難しさです。ミニ盆栽は鉢が小さいため、土の絶対量が極端に少なくなります。これはつまり、鉢が保持できる水分量が非常に少ないことを意味し、驚くほどすぐに水切れ(乾燥)を起こします。特に日差しが強く乾燥する夏場は、朝夕2回どころか、日中も含めて1日に3〜4回の水やりが必要になることも珍しくありません。
このため、ミニ盆栽鉢を選ぶ際は、デザイン性以上に機能性を重視してください。
ミニ盆栽鉢 選びの3つのポイント
- 浅すぎる鉢を避ける
見た目はお洒落ですが、土がほとんど入らないため瞬時に乾燥します。樹高とのバランスもありますが、ある程度の深さを確保できる鉢を選びましょう。 - 深すぎる鉢を避ける
逆に深すぎると、少ない根に対して土の量(水分)が多すぎ、過湿状態が続いて根腐れの原因になります。 - 鉢底の穴の大きさ
小さな鉢であっても、排水性を確保するために十分な大きさの鉢底穴が空いているか、必ず確認します。穴が小さいと水が抜け切らず、根腐れにつながります。
素材や形状の選び方

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盆栽鉢は、単なる「入れ物」ではありません。植える樹木の種類や、どのような姿(樹形)に育てたいかに合わせて、最適な素材や形状を選ぶ必要があります。デザイン性だけでなく、植物の生育(特に根の健康)に直接影響するため、基本的な知識を持っておくと鉢選びが格段に楽しく、かつ的確になります。
ここでは、代表的な素材と形状の特徴を一覧表にまとめます。植えたい樹木を想像しながらご覧ください。
| 分類 | 種類 | 特徴と主な用途 |
|---|---|---|
| 素材 | 無釉(むゆう)鉢 (素焼き、泥鉢、朱泥鉢) |
釉薬(うわぐすり)がかかっていない、土を焼き締めただけの鉢です。 長所: 通気性・排水性に非常に優れ、土が乾きやすいです。 短所: 乾燥が早いため水やりの頻度が多くなります。 適した樹種: 根腐れを嫌い、乾燥気味の環境を好む松柏類(五葉松、黒松、真柏など)に最適です。落ち着いた風合いが樹木の力強さを引き立てます。 |
| 釉薬(ゆうやく)鉢 (色鉢、化粧鉢、青磁など) |
表面に色とりどりの釉薬をかけて焼いた鉢です。 長所: デザイン性や色彩が豊か。無釉鉢に比べ保湿性があります。 短所: 通気性・排水性は無釉鉢に劣り、夏場は鉢内が蒸れやすいです。 適した樹種: 幹肌や葉の色、咲かせる花や実の色との調和を楽しむ、雑木類(カエデ、ケヤキ)、花物(梅、桜、長寿梅)、実物(ピラカンサ、姫リンゴ)など、華やかな樹種によく合います。 |
|
| 形状 | 丸鉢・楕円鉢 | 柔らかく、優しい印象を与える形状です。根が全方向に伸びやすいため、雑木類(カエデ、ケヤキなど)や、優しい樹形のもの、寄せ植えなどに適しています。 |
| 角鉢・長方鉢 (長方形、正方形) |
シャープで力強く、安定感のある印象を与えます。松柏類や、どっしりとした太い幹を持つ樹木、厳格な雰囲気を持つ樹形と相性が良いです。 | |
| 懸崖(けんがい)鉢 (深鉢、ドラム鉢) |
高さ(深さ)が際立って深い形状の鉢です。幹が鉢の縁より下に垂れ下がる「懸崖」や「半懸崖」と呼ばれる樹形専用に使われます。鉢の重さで木全体のバランスを取る役割も持ちます。 |
ワンポイントアドバイス:
もし迷ったら、最初はやや深めで、通気性の良い無釉の鉢(素焼きや朱泥)から始めることをお勧めします。釉薬鉢に比べて根腐れのリスクが低く、水やりの間隔(土の乾き具合)も掴みやすいため、初心者のうちは失敗が少ないと言われています。
まとめ:盆栽鉢どこで買う?専門店から100均まで完全ガイド
これまで解説してきたように、盆栽鉢の購入場所にはそれぞれ明確なメリットとデメリットがあります。「盆栽鉢どこで買うか」の最終的な判断は、ご自身の目的や盆栽の習熟度、そして予算に合わせて行うことが最も重要です。
この記事の要点を、判断基準として以下にまとめます。
- 盆栽鉢どこで買うか迷ったらまず専門店かホームセンターを検討する
- 盆栽鉢専門店は品質が高く専門家に相談もできるが価格は高め
- ホームセンターは手軽で安価だが専門的な鉢は少ない
- カインズなどの大型店では初心者向けの盆栽鉢が見つかりやすい
- 盆栽鉢は100均でも代用品を探せるが鉢底の穴の加工が必須な場合が多い
- 盆栽鉢を愛知(常滑焼)などの有名産地で探すのは最高の体験の一つ
- 盆栽の鉢を安い価格で探すなら通販サイトのセールやポイント活用が有効
- 盆栽鉢の中古品は安さと風合い(時代感)が魅力だが洗浄と消毒が必須
- ミニ盆栽鉢は極端に水切れしやすいためデザインより機能(深さ・穴)を重視
- 素材(陶器、プラスチック)や形状(丸、角)は植える樹木に合わせる
- 無釉(素焼き)の鉢は通気性が良く松柏類(松など)に適している
- 釉薬(色鉢)の鉢は華やかで花物(梅など)や実物と相性が良い
- 通販で購入する場合は鉢のサイズ(幅、奥行、高さ)を正確に確認する
- 鉢の深さは植物の生育(乾燥と過湿)に直結する重要な要素
- 初心者はまず手頃な価格の無釉鉢から盆栽の育成に慣れるのがおすすめ