
和盆日和
こんにちは。和盆日和、運営者の「S」です。
皆さんはキッチンの包丁で、あの白くて軽いセラミックナイフを使ったことはありますか。驚くほど軽くて錆びないし、トマトなんかもスパスパ切れて気持ちいいですよね。そんな体験があるからこそ、お庭の木を切る剪定鋏でもセラミック製があればいいのにと思って、セラミック剪定鋏のおすすめや評判を検索されたのではないでしょうか。
実は私も、盆栽や庭木の手入れで手首が疲れたり、雨の翌日に道具が錆びてしまったりするたびに、「京セラの包丁みたいなハサミがあれば最高なのにな」と考えたことがあります。特に梅雨時期の剪定や、塩風が当たる場所での作業だと、鉄製のハサミはあっという間に赤錆だらけになってしまいますからね。
でも実際に探してみると、なかなか理想通りのものが見つからなくて困ってしまうんですよね。そこで今回は、なぜ園芸用では純粋なセラミック製品が少ないのかという理由や、私たちが本当に求めている「錆びなくて軽い」というニーズを満たしてくれる現実的な選択肢について、詳しくお話ししていこうと思います。
記事のポイント
- 園芸用として純粋なセラミック剪定鋏がほとんど存在しない物理的な理由
- 京セラなどの大手メーカーが剪定ばさみにセラミックを採用しない背景
- 錆びない・軽いという理想を叶えるフォーエバー製「銀チタン」の実力
- フッ素加工やステンレスなどプロが選ぶメンテナンスフリーな代替案
セラミック剪定鋏のおすすめを探す前に知るべき真実
「セラミック剪定鋏」と検索してこのページに辿り着いた方には少しショッキングかもしれませんが、まず最初に結論をお伝えしなければなりません。実は、私たちが想像するような「白い陶器のような刃を持つ剪定鋏」は、一般的な園芸用途としてはほとんど普及していないのが現状です。
「えっ、あんなに便利な素材なのにどうして?」と思われますよね。ここでは、なぜそうなっているのか、素材の特性やメーカーの動向からその理由を紐解いていきます。

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京セラに園芸用の剪定ばさみがない理由
セラミック刃物といえば、やはり「京セラ」を思い浮かべますよね。私もキッチンの包丁やピーラーでお世話になっていますし、その切れ味への信頼感は絶大です。しかし、京セラの公式サイトやカタログを隅々まで探しても、白いセラミック刃を使った「剪定鋏」は見当たりません。
京セラの園芸機器部門(旧リョービ)からは充電式の剪定ばさみ(BSH-120など)が販売されていますが、その替え刃に使われているのは「SK5」などの炭素工具鋼、つまり鉄なんです。もしセラミックが枝切りに最適なら、本家本元の京セラが真っ先に採用しているはずですよね。
包丁とハサミの決定的な違い
彼らがそれをしないという事実こそが、剪定作業におけるセラミック素材の難しさを物語っています。キッチンで野菜を切るのと、庭で木を切るのとでは、刃にかかる負担の種類が全く異なるのです。
純粋なセラミック刃の評判と折れるリスク
では、なぜセラミックは剪定に向かないのでしょうか。それは「硬さ(Hardness)」と引き換えにある「脆さ(Brittleness)」が原因です。セラミックは非常に硬く、摩擦に強いので、柔らかいものを垂直に切る包丁としては最高の切れ味が長持ちします。
しかし、剪定作業はもっと過酷です。硬い枯れ枝を「バチン」と切った瞬間の衝撃や、枝を切り離すときに手首をひねる「こじり」の動作など、刃には強烈な負荷がかかります。金属なら「粘り(靭性)」があるので、少し曲がったり凹んだりして力を逃がせますが、セラミックは変形することができません。
ここが最大の注意点
セラミック刃で硬い枝を無理に切ったり、ねじったりすると、一瞬で「パリン」と刃が欠けたり折れたりするリスクがあります。破片が飛び散ると非常に危険ですし、大切な庭木の中に破片が残ってしまう可能性もあるため、生木の剪定には不向きとされているのです。
アルスのセラミック鋏は繊維用で不向き
ネットで熱心に検索していると、プロ用刃物メーカーであるアルスコーポレーションの「アルスーパー 524-C」というセラミック鋏が見つかることがあります。「お、あった!これぞ本物だ!」と思うかもしれませんが、購入ボタンを押す前にちょっと待ってください。
このハサミは、ケブラーやザイロン、ダイニーマといった「金属刃ではすぐに摩耗してしまうスーパー繊維」を切るための産業用特殊ツールなんです。価格も8,000円〜10,000円前後と非常に高価です。
さらに、刃には繊維を逃さないための「マイクロエッジ加工」という微細なギザギザが施されています。これを庭木に使うのは、例えるなら「手術用の精密メスでステーキの骨を切る」ようなもので、用途が全く合いません。生木を切ると刃こぼれの原因になるだけでなく、切断面も荒れてしまうため、園芸用のおすすめリストには入れられないのです。
錆びない剪定鋏を求めるならチタンが正解
ここまでの話で少しがっかりされたかもしれませんが、諦めるのは早いです。私たちがセラミックに求めていた本質的なニーズは、「陶器素材そのもの」ではなく、「錆びないこと」と「軽いこと」ではないでしょうか。
その願いを叶えるために、現代の材料工学が出した一つの答えが「チタン合金」です。チタンは海水に何年浸けても錆びない完全な耐食性を持っていて、重さは鉄の約60%と非常に軽量です。
純粋なチタンだけでは柔らかすぎて刃物になりませんが、そこに特殊な技術を加えることで、剪定鋏として実用化されています。セラミックそのものを探して彷徨うよりも、この「チタン系」のツールに目を向けるのが、失敗しない選び方の近道ですよ。
フォーエバーの銀チタンこそ現実的な選択肢

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ここで登場するのが、株式会社フォーエバーが開発した「銀チタンハイブリッド鋼」です。これは、チタン合金をベースに、セラミックの粒子と銀(シルバー)を混ぜ込んで焼き固めた(焼結した)特殊素材です。
つまり、これこそが実質的な「セラミック入りの剪定鋏」と言えます。それぞれの素材が良い仕事をしているんですよね。特徴を整理してみましょう。
| 素材成分 | 役割とメリット |
|---|---|
| チタン合金 | ベースとなる素材。圧倒的な軽さと、絶対に錆びない耐食性を実現。 |
| セラミック粒子 | 柔らかいチタンの硬度を飛躍的に高め、鋼のような切れ味と耐摩耗性を付与。 |
| 銀(Ag) | 強力な抗菌作用を発揮。切断面からの雑菌侵入を防ぎ、切り花の水腐れも抑制。 |
私たちが検索で探していた「理想のハサミ」に最も近いのは、実はこの銀チタン鋏なんです。
セラミック剪定鋏のおすすめに代わる最強モデル
純粋なセラミック刃のリスクと、その解決策としての「チタン」が見えてきましたね。ここからは、具体的にどの製品を選べば私たちの園芸ライフが快適になるのか、おすすめのモデルを深掘りしていきます。「銀チタン」を中心に、プロも愛用するフッ素加工やステンレスのハサミも合わせてご紹介します。

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銀チタン剪定鋏は驚異の軽さと完全防錆
私が個人的に、セラミック鋏を探している方に一番おすすめしたいのが、フォーエバーの「銀チタン剪定鋏 チタン王(TG-4)」です。このハサミ、実際に手に取るとその軽さに衝撃を受けます。
重さ100gという衝撃
一般的な鋼製の剪定鋏(180mmサイズ)の重量は、だいたい200g〜250g程度が標準です。しかし、このチタン王はなんと約100gしかありません。既存製品の半分以下の重さです。
果樹園で一日中摘果作業をするプロの方や、握力が弱くなってきたシニアの方、そして手の小さな女性にとって、この軽さは腱鞘炎のリスクを劇的に減らす「革命」と言っても過言ではありません。ポケットに入れているのを忘れるくらいの軽さですよ。
ただし、デメリットもあります
ボディ全体が樹脂とチタンで構成されているため、鉄の鍛造鋏のような「剛性(ガッチリ感)」はありません。直径13mmを超えるような太くて硬い枝を、力を込めて切ろうとすると、ハンドルが少し「たわむ」感覚があります。あくまで「草花、野菜、小枝」の軽作業・中作業用として割り切って使うのがコツです。
フッ素加工ステンレスでヤニと錆を防ぐ
「チタンもいいけど、もう少しガシガシ使いたい」「太い枝も切りたい」という方には、ステンレス刃や炭素鋼にフッ素コーティングを施したタイプがおすすめです。近正(チカマサ)やサボテンといった有名メーカーから優秀な製品が出ています。
フッ素加工(テフロン加工)の最大のメリットは、「シブやヤニがつかない」ことです。松の剪定や果樹の間引きをしていると、樹液で刃がベタベタして開かなくなることがよくありますよね。フッ素加工なら、あのストレスから解放されます。サッと拭くだけで綺麗になりますし、同時に水を弾くので防錆効果も非常に高いんです。
近正の高級ステンレス鋏も有力な候補

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収穫作業や花の手入れがメインなら、近正の「ぶどう鋏 B-300SF」のような高級ステンレスモデルも候補に入ります。これらは「ウルトラロッソ」などの名称で販売されており、ステンレスとは思えない鋭い切れ味を持っています。
特にステンレスは、チタンよりも素材としての硬度が出しやすいため、刃を薄く鋭く作ることができます。切り口の美しさを優先したい場合や、ブドウの軸のような細かい部分を狙って切りたい場合には、刃に厚みのあるチタン鋏よりも、薄刃のステンレス鋏の方が使い勝手が良いことがあります。「錆びにくさ」と「切れ味」のバランスが良い優等生ですね。
チタンやセラミック刃の特殊な研ぎ方
ここで一つ、購入前に知っておいてほしいのがメンテナンスの話です。「錆びないから手入れ不要」と思われがちですが、どんな刃物も使い続ければ切れ味は落ちてきます。
実は、銀チタン鋏は一般的な砥石(茶色や灰色の角砥石)ではうまく研げません。チタン特有の粘り気が強いうえに、非常に硬いセラミック粒子が含まれているため、普通の砥石だと滑ってしまって刃がつかないのです。
研ぐ際は、必ず「ダイヤモンドシャープナー」を使ってください。ホームセンターや100円ショップでも手に入りますが、表面にダイヤモンド粒子が電着されているものであればOKです。
研ぎのワンポイント
チタン刃は「片刃」に近い構造のものが多いです。研ぐときは刃の表側(斜めになっている方)だけを軽く撫でるように研ぎ、裏側はバリ(かえり)を取る程度にするのが基本です。力を入れすぎると刃が減りすぎるので優しく扱ってくださいね。
塩素消毒も可能な銀チタンの手入れ方法

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バラの栽培や家庭菜園をしていると、ウィルス病(モザイク病など)の予防のために、ハサミを塩素系漂白剤(ハイターなど)で消毒したい場面があるかもしれません。
しかし、普通の鉄やステンレスのハサミを塩素につけると、驚くべき速さで錆びてボロボロになります。塩素の強力な酸化作用は金属にとって天敵で、アルスなどの主要メーカーも「塩素系消毒液は錆びの原因になるため使用しないでください」と注意喚起しているほどです。
ところが、銀チタン剪定鋏だけは例外です。チタンは塩素に対して完全な耐性を持っているので、消毒液にドブ漬けしても全く問題ありません。これは他の素材には真似できない圧倒的なメリットです。病気を広げたくない方や、衛生管理に厳しい方にとっては、この「消毒し放題」という特性だけでも選ぶ価値がありますよ。
セラミック剪定鋏のおすすめ製品選びの総括
最後にまとめとして、用途別の選び方を整理しました。あなたのスタイルに合うのはどちらでしょうか?
| こんな人におすすめ | 推奨モデル | 理由 |
|---|---|---|
| ・とにかく軽いのがいい ・絶対に錆びさせたくない ・塩素消毒をしたい |
フォーエバー 銀チタン剪定鋏 (TG-4) |
100gの軽さと完全耐食性は唯一無二。女性やシニア、海沿いに住む方に最適。 |
| ・太い枝も切りたい ・ヤニ汚れを防ぎたい ・鋭い切れ味が欲しい |
近正・サボテン フッ素加工ステンレス鋏 |
剛性があり、フッ素で汚れに強い。汎用性が高く、メインの1本として優秀。 |
「セラミック剪定鋏」という名前そのものの商品は見つからないかもしれませんが、その向こう側にある私たちの「楽に作業したい」「道具を大切に長く使いたい」という願いを叶えてくれる道具は、確実に存在します。
ぜひ、あなたの庭仕事の相棒を見つけて、これからの剪定作業をもっと快適に楽しんでくださいね。
以上、和盆日和の「S」でした。