こんにちは、和盆日和の「S」です。
盆栽の枝が増えてくると、どの枝も必要に見えてしまい、ハサミを入れる場所が分からなくなることがあります。
車枝、交差枝、かんぬき枝、徒長枝といった名前を知ると判断しやすくなりますが、名称だけを見て切ってしまうのはおすすめできません。
同じ場所から何本も枝が出ていても、将来の芯や役枝として使える枝が残っているかもしれません。
反対に、一見きれいな枝でも、付け根を太らせたり、幹の流れを隠したり、枝の内側へ光が入りにくくしたりすることがあります。
大切なのは、忌み枝の名前を覚えることより、なぜその枝を残すのか、なぜ抜くのかを判断できるようになることです。

この記事では、車枝・交差枝・かんぬき枝の違いを中心に、徒長枝やひこばえの見方、盆栽の枝数を減らすときの順番、枝抜きと切り戻しの使い分けまで分かりやすく解説します。
記事のポイント
- 盆栽の忌み枝を見分ける基準
- 車枝・交差枝・かんぬき枝の違い
- 徒長枝やひこばえを残す場合
- 枝数を減らす枝抜きの考え方
最初に覚えておきたいポイント
忌み枝だから切るのではなく、完成させたい樹形に必要かどうかを見てください。
枝を抜く前に正面と幹の流れを決め、残す枝を選んでから不要な枝へハサミを入れるほうが失敗を避けやすいですよ。
盆栽の忌み枝と見分け方
忌み枝にはいくつもの名称がありますが、すべてを暗記する必要はありません。
枝が出ている位置、本数、向き、ほかの枝との関係、伸び方を見ると、かなり判断しやすくなります。
文化庁の盆栽に関する調査では、枝ぶりを見るポイントとして、大きな枝がバランスよく配置されているか、不必要な枝がないかなどが挙げられています。
また、全体の姿を損なう枝として、かんぬき状の枝、落ち枝、前枝、交差枝、幹切り枝などが示されています。
- 忌み枝は何を基準に見るか
- 車枝は枝数と位置で見る
- 交差枝は正面から確認する
- かんぬき枝は左右を見る
- 車枝とかんぬき枝の違い
- 徒長枝は長さだけで決めない
- ひこばえは発生位置を見る
- ほかの忌み枝も確認する
忌み枝は何を基準に見るか
盆栽でいう忌み枝は、病気になった枝という意味ではありません。
今作ろうとしている樹形に対して、姿や枝ぶりを損ねやすい枝と考えると分かりやすいでしょう。
見るポイントは、枝の名前だけではありません。
同じ場所へ枝が集中して幹の一部分だけが太くならないか、枝同士が重なって幹筋を隠していないか、正面から見たときに枝が不自然に交差していないか、内側へ日光や風が通る余地があるかを見ていきます。
盆栽は正面によって見え方が大きく変わります。
横から見れば問題のない枝でも、正面から見ると幹を横切っていたり、ほかの枝と重なっていたりすることがあります。
そのため、枝を切り始める前に正面を決めることが大切です。
役枝との位置関係を詳しく確認したい場合は、盆栽の枝配置と一の枝・裏枝・差し枝の決め方も参考にしてください。
◆Sのワンポイントアドバイス
ハサミを持つ前に、一度盆栽から少し離れて見てください。
一本の枝だけを見ていると邪魔に感じても、木全体で見ると大事な役枝だった、ということがあります。
先に「残す枝」を決めると迷いにくくなりますよ。
車枝は枝数と位置で見る
車枝は、幹や枝のほぼ同じ位置から複数の枝が集中して出ている状態です。
国土交通省九州地方整備局の植栽管理資料では、車枝について一か所から3本以上同じような枝が出ている状態が示されています。
上から見たとき、車輪の中心からスポークが広がるように、一つの節付近から枝が何方向にも伸びているのが典型的です。

| 確認点 | 車枝の見え方 |
|---|---|
| 枝の位置 | ほぼ同じ節や高さへ集中する |
| 枝数 | 3本以上が一つの目安 |
| 上から見る | 複数方向へ放射状に伸びる |
| 長期間残した場合 | 枝元周辺が太く目立つ場合がある |
車枝を長く伸ばすと、同じ位置へ複数の枝の付け根が集まるため、その部分の肥大が目立つことがあります。
根元から上へ徐々に細く見せたい幹では、一部分だけが膨らむとコケ順を損ねる要因になります。
こうした幹の膨らみについては、盆栽の逆テーパーとコブの原因でも詳しく解説しています。
ただし、3本あるからその場ですぐ2本切ればよいわけではありません。
育成途中なら、現在の枝の中から将来の一の枝、裏枝、新しい芯などを選ぶ段階かもしれないからです。
交差枝は正面から確認する
交差枝は、別々の枝が途中で交わって見える枝です。
文化庁の資料でも、上下の枝が交差する「交差枝」が忌み枝の一つとして挙げられています。
交差枝で大切なのは、枝同士が実際に触れているかだけではありません。
正面から見たときに2本の線が重なり、それぞれの枝の流れが分かりにくくなっている場合も確認したいところです。
例えば、下枝が右上へ伸び、その上の枝が左下へ伸びれば、正面からは「×」のように見えることがあります。
どちらか一方が不要なら枝抜きできますが、両方とも使いたい枝なら、切らずに枝の方向を変えられる場合があります。
まだ曲げられる細さの枝なら、針金かけで位置をずらし、交差して見えない方向へ誘導する方法もあります。
ただし、枝の柔軟性は樹種、枝齢、太さ、作業時期によって違うため、無理に曲げるのは避けてください。
交差枝とからみ枝は同じではありません。
交差枝は枝同士が交わって見える状態です。
からみ枝は、別の枝へ絡むような方向に伸びる枝を指します。
実際の盆栽では両方の特徴が重なることもあります。
かんぬき枝は左右を見る
かんぬき枝は、幹のほぼ同じ高さから左右へ対向するように枝が伸びている状態です。
「閂枝」と表記されるほか、資料によっては「門枝」と表記される例もあります。
幹の左右から一本ずつ枝が伸び、横棒が幹を貫いているように見えるため、かんぬきの姿をイメージすると覚えやすいですよ。
かんぬき枝をそのまま残すと、左右が同じ位置でそろい、枝の配置が単調に見える場合があります。
また、一つの位置へ枝元が集まるため、その部分の太りも確認しておきたいところです。
直す場合は、左右のどちらか一方を残す方法が基本になります。
ただし「右を切る」「細いほうを切る」といった決まりはありません。
正面、幹の曲がり、上下の役枝、後方の空間などを見て、将来使いやすい枝を選びます。
車枝とかんぬき枝の違い
車枝とかんぬき枝は、どちらも同じ位置付近から複数の枝が出るため、初心者には区別しにくい枝です。
| 比較 | 車枝 | かんぬき枝 |
|---|---|---|
| 見るポイント | 発生位置と枝数 | 左右の対向 |
| 本数の目安 | 同じ位置から3本以上 | 左右に対向する2本 |
| 見え方 | 放射状に枝が集まる | 幹を横棒が通るように見える |
| 対応 | 使う枝を選んでほかを抜く | 左右の一方を選ぶ |
車枝は「何本集まっているか」、かんぬき枝は「幹を挟んで左右へ向かい合っているか」を見ると、かなり判別しやすくなります。
実際の木では、枝の位置が完全に同じ高さとは限りません。
数ミリの差だけで名前を決めるより、木全体を見たときに一地点へ枝が集中して見えるかを確認してください。
徒長枝は長さだけで決めない
徒長枝は、周囲の枝に比べて勢いよく伸び、樹冠から大きく飛び出すような枝です。
「長い枝=徒長枝」とだけ覚えると判断を誤りやすくなります。
見るべきなのは長さだけでなく、節間が大きく伸びていないか、周囲より伸長が目立たないか、一本だけ樹冠から飛び出していないかです。
また、徒長枝と立ち枝も同じ意味ではありません。
| 枝 | 主に見る部分 |
|---|---|
| 徒長枝 | 周囲と比べた伸び方や勢い |
| 立ち枝 | 枝から上方向へ立つ向き |
| 交差枝 | ほかの枝との位置関係 |
| 車枝 | 同じ位置へ集まる枝数 |
徒長枝も、必ず付け根から切る枝ではありません。
育成中の盆栽では、幹や枝を太らせるために一時的に長く伸ばす「犠牲枝」として使うことがあります。
今の姿だけなら飛び出して見えても、目的があって伸ばしている枝なら残す意味があります。
つまり、完成に近い木と、これから幹や枝を作る素材では判断が変わるということです。
ひこばえは発生位置を見る
ひこばえは、株元や地際付近から出てくる芽や枝です。
樹木管理や盆栽では「ヤゴ」と呼ばれることもあります。
これに対して、幹の途中から出てくる芽や枝は胴吹き芽・胴吹き枝と呼ばれます。

| 名称 | 主な発生場所 |
|---|---|
| ひこばえ・ヤゴ | 株元や地際付近 |
| 胴吹き芽 | 幹の途中 |
| 台芽 | 接ぎ木の台木部分 |
単幹の盆栽を作る場合、必要のないひこばえをそのまま伸ばすと、株元の姿が分かりにくくなります。
そのため、使わないものは早い段階で外すことがあります。
ただし、ひこばえも無条件で不要とは言えません。
株立ちや根連なりの姿を作りたい場合には、新しい幹として利用できることがあります。
ひこばえを見つけたら、最初に「単幹を作るのか、複数の幹を生かすのか」を決めましょう。
ほかの忌み枝も確認する
車枝、交差枝、かんぬき枝以外にも、盆栽では枝の位置や伸び方によってさまざまな呼び名があります。
| 名称 | 見分けるポイント | 考え方 |
|---|---|---|
| 立ち枝 | 枝から上へ立ち上がる | 使わないものは抜く候補 |
| 逆枝 | 全体の流れと反対へ向かう | 幹筋との関係を見る |
| 前枝 | 正面へ向かって伸びる | 幹を隠す場合は見直す |
| 落ち枝 | 下方向へ大きく伸びる | 樹形によって使う場合もある |
| 平行枝 | 近い枝が同じ方向へ並ぶ | 重なり方を確認する |
| 幹切り枝 | 正面から幹を横切る | 幹の流れを隠すかを見る |
| ふところ枝 | 枝元近くの内側へ出る | 将来使う芽まで切らない |
特に注意したいのが、ふところにある小枝です。
内側を混み合わせる枝は抜く場合がありますが、幹に近い小枝や芽は、将来枝を短く作り直すための大切な候補になることもあります。
内側にある枝を全部「ふところ枝だから不要」と判断しないこと。
これも盆栽では大切な考え方です。
盆栽の枝抜きと直し方
忌み枝が分かっても、次に迷うのが「どちらを切るか」です。
枝抜きでは、切る枝を探すより、最初に残す枝を決めたほうが判断しやすくなります。
ここからは、車枝・交差枝・かんぬき枝を実際に直す考え方と、盆栽の枝数を減らすときの注意点を見ていきます。
- 枝を減らす前に正面を決める
- 車枝は残す枝から決める
- 交差枝は切らずに直せる
- かんぬき枝は片側を選ぶ
- 枝抜きと切り戻しを分ける
- 剪定道具は枝径で使い分ける
- 太い枝は切り口にも注意する
- 剪定時期は樹種で変わる
- 切らずに残す忌み枝もある
- 忌み枝を見分ける早見表
- 盆栽の忌み枝FAQ
- 盆栽の忌み枝を見分けて直すまとめ
枝を減らす前に正面を決める
盆栽の枝を抜く前に、まず確認したいのが正面です。
同じ盆栽でも鉢を少し回すだけで、交差して見えていた枝が離れて見えたり、反対にきれいだった枝が幹を横切って見えたりします。
正面候補を決めたら、根元から樹芯まで幹を目で追ってください。
その幹筋を見せるために必要な枝と、邪魔になっている枝を分けていきます。
次に一の枝、反対側の主要枝、裏枝、樹芯候補を見ます。
この段階で、まだ役割を決められない太い枝があるなら、急いで切る必要はありません。
一度切った太枝を元の位置へ戻すことはできないからです。
枝数だけで切る量を決めないでください。
「枝が10本あるから5本にする」といった考え方ではなく、正面、幹、役枝、樹冠、今後の育成目的を見ながら一本ずつ判断します。
植え替え直後など木へ負担がかかっている時期は、大きな剪定を重ねないほうがよい場合もあります。
車枝は残す枝から決める
車枝を直すときは、「どれを切るか」より「どれを使うか」を先に決めます。
例えば同じ位置から4本出ているなら、一の枝として使える横枝、裏枝として使える後方の枝、新しい芯として使える上向きの枝など、それぞれの可能性を見ます。
完成像に必要な一本が決まれば、残りは枝抜きの候補になります。
すべて不要なら、将来の傷の大きさや木の状態を見ながら外していきます。
太くなった車枝をまとめて切れば、幹には複数の傷が残ります。
そのため、太枝が何本もある素材では、一度に完成させることだけを優先しないほうがよいでしょう。
反対に若い枝で、将来使わないことが明確なら、太枝になるまで長く残す必要はありません。
枝が太くなれば、外したあとに残る切り口も大きくなります。
交差枝は切らずに直せる
交差枝は、一方を切る方法だけではありません。
2本とも必要で、まだ枝を動かせるなら、針金を使って上下または前後へ位置をずらし、正面から交差して見えない形へ変えることができます。
枝を残す判断では、どちらの枝が幹から自然につながって見えるか、どちらが空いている場所へ伸びているか、ほかの役枝との距離が取りやすいかを比べます。
交差を直すためだけに枝を大きく曲げると、枝元を傷める場合があります。
太く硬くなった枝は、細枝と同じ感覚で動かさないでください。
◆Sのワンポイントアドバイス
交差枝を見つけたら、すぐハサミを入れる前に鉢を少し回してみてください。
正面の変更や枝のわずかな移動だけで、見え方がかなり変わることがあります。
切るのは、それでも不要だと判断できてからで大丈夫です。
かんぬき枝は片側を選ぶ
かんぬき枝では、左右どちらを残すかが一番の迷いどころです。
ここにも「右を残す」「太い枝を残す」といった共通ルールはありません。
下にある一の枝が右へ出ているなら、その上では左側の枝を生かしたほうが変化を付けやすい場合があります。
一方、左側に十分な枝があり、右側が空いているなら右枝のほうが使いやすいかもしれません。
幹の曲がりも見てください。
模様木では、曲がりの外側へ出る枝を生かす考え方があります。
ただし、内側の枝だから必ず切るということではありません。
木全体を見て、枝がない場所を補える側、幹筋を隠さない側、将来の輪郭を作りやすい側を選びます。
枝抜きと切り戻しを分ける
盆栽の剪定では、「枝をなくす作業」と「枝を短くする作業」を分けて考えると分かりやすくなります。
| 作業 | 切り方 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 枝抜き | 不要な枝を付け根側から外す | 枝数を減らす |
| 切り戻し | 芽や分岐を残して途中で切る | 長さを抑え、枝を残す |
| 芽摘み | 伸び始めた芽を摘む | 伸長や枝ごとの差を調節する |
| 葉透かし | 葉を選んで減らす | 日光や風を通しやすくする |
車枝の余分な枝をなくすなら枝抜きが中心です。
一方、徒長した枝を今後も使うなら、付け根からなくすのではなく、残したい芽や枝分かれまで切り戻す方法があります。
「長いから根元から切る」と決めないことが大切です。
必要な枝なのに付け根から切ってしまえば、その場所から同じ枝をもう一度作るのは簡単ではありません。
剪定道具は枝径で使い分ける
枝抜きでは、枝の太さと切る位置に合った道具を選びます。

細かな枝へ大きな鋏を入れると、残したい芽や隣の枝まで傷付けることがあります。
反対に、太い枝を細枝用の鋏で無理に切れば、枝をつぶしたり、刃を傷めたりする原因になります。
細枝を一本ずつ選びながら切る場合は、刃先を枝の間へ入れやすい盆栽鋏や剪定鋏が候補になります。
枝元まで太くなった車枝などでは、枝元へ刃を当てやすい盆栽用の又枝切りを使う場面があります。
庭木と盆栽を兼用し、少し太めの枝も切るなら、手の大きさと切断能力に合う枝切り鋏も選択肢です。
剪定道具を探す
枝の太さや切る位置に合う道具を選びたい場合は、Amazonと楽天市場の検索結果を比較できます。
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剪定鋏の種類や岡恒・アルスなどの違いを確認したい場合は、剪定鋏は岡恒とアルスどっち?選び方も参考にしてください。
製品ごとに切断できる枝径や用途は異なります。
メーカーが示す能力を超える枝へ無理に使用しないでください。
太い枝は切り口にも注意する
細枝と太枝では、切ったあとの傷の大きさが大きく違います。
特に長期間残した車枝では、枝元がかなり太くなっている場合があります。
太枝を抜いたあとに大きな切断面が残れば、周囲の組織が傷面を覆うまで時間がかかることがあります。
だからといって、深くえぐれば必ず早く塞がるわけではありません。
必要以上に傷面を広げないことも大切です。
盆栽では枝元をわずかにくぼませて仕上げるために又枝切りを使う場合がありますが、目的は傷が巻いたあとに不自然な膨らみを残しにくくすることで、深く削るほどよいという意味ではありません。
剪定跡や肉巻きについて詳しく知りたい場合は、盆栽の切り口が塞がらない原因とカルス・肉巻きの管理も確認してください。
剪定時期は樹種で変わる
「忌み枝を見つけたら何月に切ればよいのか」と考えたくなりますが、全盆栽に共通する一つの月はありません。
落葉樹、松柏類、花もの、実ものでは生育の流れが違います。
同じ樹種でも、骨格を変える太枝剪定と、伸びた新梢を短くする作業では適した時期が同じとは限りません。
また、花や実を楽しむ盆栽では、花芽を作る時期を考えずに枝を切ると、その年または翌年の花を減らしてしまうことがあります。
車枝だから冬、徒長枝だから夏というように、枝の名称だけで作業月を決めないでください。
樹種ごとの年間管理を確認し、木の状態を見たうえで作業することが大切です。
一度に枝を減らしすぎないでください。
特に太枝を何本も抜く場合や、植え替えなど別の大きな作業を行った直後は、現在の木の状態を見ながら進めます。
切る理由を自分で説明できない枝なら、その日は残して改めて見る方法もあります。
切らずに残す忌み枝もある
忌み枝という名称が付いていても、育成途中では利用価値のある枝があります。
代表的なのが徒長枝を利用する犠牲枝です。
幹や枝の太りを得るため、完成時には不要になる枝を一時的に伸ばす方法があります。
将来の芯として使う枝も同じです。
今の正面から見ると立ち枝のようでも、旧芯を切ったあとに新しい樹芯として使えることがあります。
ひこばえも、単幹なら外す候補になりますが、株立ちを作る場合は新しい幹として使える場合があります。
つまり、枝の名称は「切る命令」ではなく、その枝の特徴を見つけるための目印と考えると分かりやすいです。
◆Sのワンポイントアドバイス
完成木の写真だけを基準に若木を見ると、余計な枝がたくさんあるように感じます。
でも育成途中では、その枝が幹を太らせたり、新しい芯になったりします。
今の姿と完成後の姿は分けて考えてください。
忌み枝を見分ける早見表
| 見つけた状態 | 確認する枝 | 次に見ること |
|---|---|---|
| 同じ場所から3本以上出る | 車枝 | どの枝を役枝に使うか |
| 左右へ同じ高さから出る | かんぬき枝 | どちら側が必要か |
| 枝同士が×状に見える | 交差枝 | 切るか方向を変えるか |
| 一本だけ大きく伸びる | 徒長枝 | 役枝や犠牲枝に使うか |
| 枝から真上へ伸びる | 立ち枝 | 芯として使えるか |
| 株元から枝が出る | ひこばえ | 単幹か株立ちか |
| 幹の途中から芽が出る | 胴吹き芽 | 新しい枝に使えるか |
| 幹を横切って見える | 幹切り枝 | 正面変更で解消できるか |
名前が分からない枝でも、「どこから出ているか」「何本あるか」「どちらへ伸びているか」「ほかの枝とどう重なるか」の順で見ると判断しやすくなります。
盆栽の忌み枝FAQ
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Q1. 車枝は必ず1本だけ残しますか?
A. 必ずその場で1本にする必要はありません。
完成に近い木なら必要な役枝を選んでほかを抜く方法がありますが、育成途中では新しい芯や犠牲枝として使う枝が含まれる場合があります。
まず将来残す枝を決めてから判断してください。
Q2. かんぬき枝は左右どちらを切りますか?
A. 右か左かを決める共通ルールはありません。
一の枝や裏枝の位置、幹の曲がり、空いている方向、正面から見た枝の流れを比べて、完成後に使いやすい側を残します。
Q3. 交差枝は切らないと直せませんか?
A. 枝自体が必要で、曲げられる状態なら、針金かけなどで位置を変えて交差を解消できる場合があります。
太く硬くなった枝を無理に曲げると折損することがあるため、樹種や枝の状態を見て判断してください。
Q4. 徒長枝は付け根から切りますか?
A. 今後使わない枝なら枝抜きすることがありますが、役枝として使うなら切り戻す方法があります。
幹や枝を太らせる犠牲枝として一時的に伸ばす場合もあるため、長いという理由だけで付け根から切らないでください。
Q5. 盆栽の枝数はどこまで減らせますか?
A. 全盆栽に共通する本数や割合はありません。
樹種、木の状態、季節、枝の太さ、植え替えなど直前の作業によって判断が変わります。
本数ではなく、枯れ枝、明らかに不要な枝、重複する枝などを一本ずつ確認してください。
盆栽の忌み枝を見分けて直すまとめ
盆栽の忌み枝は、名前を覚えただけで判断できるものではありません。
車枝は一地点へ複数の枝が集まる状態、かんぬき枝は幹の同じ高さ付近から左右へ枝が出る状態、交差枝は別の枝同士が交わって見える状態です。
徒長枝は周囲より伸長が目立つ枝、ひこばえは株元や地際付近から出る枝として見分けます。
どの枝でも共通するのは、「この名前だから切る」と決めないことです。
まず正面を決め、幹の流れを見て、一の枝や裏枝、樹芯など将来残したい骨格を選びます。
そのあとで、同じ位置へ集中する枝、重なる枝、幹を隠す枝などを確認してください。
枝そのものが不要なら枝抜き、長さだけを抑えたいなら切り戻し、位置だけが問題なら針金かけを検討します。
育成途中なら、現在は忌み枝に見える枝を新しい芯や犠牲枝として利用できることもあります。
ひこばえも、株立ちを作るなら使える場合があります。
盆栽の枝数を減らす作業は、枝をたくさん切ることではなく、残す枝の役割をはっきりさせる作業と考えると分かりやすいですよ。
なお、剪定時期や一度に切れる枝量は樹種、樹齢、木の状態、生育環境によって異なります。
この記事中の本数や作業方法は一般的な判断材料として考え、使用する剪定道具についてはメーカー公式サイトや取扱説明書で適用範囲を確認してください。
太い主枝を切る場合や、どの枝を残すか判断できない大切な盆栽では、最終的な判断を盆栽園など経験のある専門家へ相談する方法もあります。
以上、和盆日和の「S」でした。