こんにちは、和盆日和のSです。
剪定鋏を初めて手にすると、意外と迷うのが持ち方と刃の向きです。普通のハサミと似ているように見えますが、一般的な剪定鋏には「切り刃」と「受け刃」があり、それぞれ役割が違います。
ここを知らないまま枝を切ると、植物側に残る樹皮をつぶしたり、太い枝を刃先で無理に挟んだりしがちです。さらに、切れない枝を力任せに切ろうとすると、剪定鋏を傷めるだけでなく手を滑らせる原因にもなります。
剪定鋏の基本はそれほど複雑ではありません。手に合う大きさを選び、残す枝側へ切り刃を向け、太めの枝ほど刃元で切る。まずはこの3つを覚えておけば、使い方がかなり分かりやすくなります。
この記事では、剪定鋏の持ち方や握り方から、切り刃と受け刃の向き、枝を切る位置、太い枝への対応、安全な使い方、使用後のお手入れまで順番に解説していきます。

記事のポイント
- 剪定鋏の正しい持ち方と握り方
- 切り刃と受け刃の正しい向き
- 枝を傷めにくい切り方と切る位置
- 安全な操作と使用後のお手入れ
剪定鋏の使い方|正しい持ち方・切り方と安全な基本操作を解説
まず覚えたいのは、剪定鋏そのものの仕組みと基本操作です。特にバイパス式の剪定鋏は、左右の刃が同じ働きをする普通のハサミとは構造が違います。
どちらを植物側へ向けるのか、枝を刃のどこへ入れるのか。この2点が分かるだけでも切り方はかなり変わってきます。
- 剪定鋏の構造を知っておく
- 剪定鋏の正しい持ち方
- ストッパーの安全な外し方
- 切り刃は残す枝側に向ける
- 剪定鋏は裏返しても使える
- 枝を切る基本手順
- 太い枝ほど刃元で切る
- 回し切りと横こじりの違い
- 芽の上と枝の付け根の切り方
- 切れないときは原因を確認する
剪定鋏の構造を知っておく
一般的な剪定鋏には、切り刃、受け刃、グリップ、バネ、支点となるネジ、ストッパーなどがあります。
庭木や果樹の剪定でよく使われるのがバイパス式です。鋭い切り刃と枝を支える受け刃がすれ違いながら閉じることで、生木を切断します。
切り刃は枝へ入り込む側です。それに対して受け刃は、枝を下から支えながら切断を助ける役割を持ちます。
| 部分 | 主な役割 | 使うときのポイント |
|---|---|---|
| 切り刃 | 枝へ切り込む | 植物に残す側へ向ける |
| 受け刃 | 枝を受け止める | 切り落とす側へ向ける |
| 刃元 | 支点に近い部分 | 太めの枝を挟む |
| 刃先 | 先端部分 | 細枝や狭い場所に使う |
| ストッパー | 刃を閉じて固定する | 移動や保管時に掛ける |
なお、アンビル式は構造が違います。こちらは一枚の切り刃を平らな受け台へ押し付け、包丁とまな板のように枝を切るタイプです。乾燥した枝や枯れ枝に使いやすい製品があります。
この記事で「切り刃を植物側へ向ける」と説明している部分は、主として一般的なバイパス式剪定鋏を想定しています。
剪定鋏の正しい持ち方
剪定鋏の持ち方は、グリップを手のひらで包み、そのまま握り込める位置が基本です。植木鋏のように指を輪へ通して細かく開閉する道具ではありません。
重要なのは、指を何センチの位置へ置くかではなく、手のひら全体で安定して持てることです。

刃を開いたときに指がいっぱいまで広がってしまったり、閉じるときに手のひらがグリップから浮いたりするなら、剪定鋏が大きすぎる可能性があります。
逆に小さすぎると指が窮屈になり、十分に握り込めない場合があります。
握り方の目安
刃を開いた状態から閉じるまで、手のひらがグリップから離れず、無理なく一連の動作を行える大きさを選びます。性別だけでサイズを決めるより、実際の手の大きさを基準にするほうが分かりやすいですよ。
アルスでは、手首の横ジワから中指先端までの長さを参考に、手長と同程度または少し大きめの剪定鋏を選ぶ方法を紹介しています。
手が小さく一般的な200mm前後の剪定鋏では握りにくい場合は、小さい手でも使いやすい剪定鋏の選び方も参考にしてください。
手の大きさに合う剪定鋏へ替えるだけで扱いやすくなることもあるので、切れにくさをすべて握力の問題だと考えないことも大切です。
手に合う剪定鋏を探している方へ
今使っている剪定鋏が大きすぎる、握り込みにくいと感じる場合は、定番の岡恒ユニークでサイズを比較してみるのも一つです。小さめを探すならNo.101、標準的なサイズを探すならNo.103を比較すると選びやすくなります。
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ストッパーの安全な外し方
剪定鋏を使い始めるときは、いきなりストッパーだけを解除するのではなく、先にグリップを軽く握ります。
その状態でストッパーを外し、手をゆっくり緩めて刃を開きましょう。
バネ式の剪定鋏は、ロックを解除すると刃が開こうとします。そのため、刃先を人へ向けた状態でストッパーだけを外すのは避けたいところです。
刃先の方向にも注意
ストッパーを外すときも、使用中も、刃先を自分の身体や周囲の人へ向けないでください。剪定鋏は軽く触れただけでもケガにつながる刃物です。
切り刃は残す枝側に向ける
剪定鋏の向きで最も大事なのがここです。
一般的なバイパス式なら、植物に残す枝側へ切り刃、切り落とす側へ受け刃を向けます。
切り刃側は鋭い刃が枝へ入るため、比較的きれいな切断面になります。一方、受け刃側は枝を押さえながら切るので、樹皮や組織が押された跡が残ることがあります。
だからこそ、これからも植物側に残る切断面を切り刃側へするわけです。
アルスコーポレーションも、枝の伸びる方向に合わせて剪定鋏を持ち替え、植物本体側へ切り刃を向ける方法を紹介しています。(出典:アルスコーポレーション「枝の切り方」)
◆Sのワンポイントアドバイス
「切り刃は上、受け刃は下」とだけ覚えると、枝の向きが変わったときに迷います。上下ではなく、残す側が切り刃と覚えるのがおすすめです。これなら枝が左右どちらに伸びていても判断できます。
剪定鋏は裏返しても使える
右手で剪定鋏を持ったとき、枝の伸びる方向によっては普通に構えると受け刃が植物側へ来ることがあります。
この場合は、剪定鋏を裏返すように持ち替えて構いません。
大切なのは「剪定鋏には絶対的な上下がある」と考えることではなく、枝に対して切り刃と受け刃をどう配置するかです。
例えば右へ伸びる枝と左へ伸びる枝では、同じ右手で作業していても刃の位置関係が反対になることがあります。そこで剪定鋏を持ち替え、植物側へ切り刃が来るよう調整します。
グリップの色で上下を覚える方法はおすすめしません。メーカーや製品によって色分けは異なるためです。実際の刃を見て、鋭い切り刃と厚みのある受け刃を見分けましょう。
枝を切る基本手順
枝を切るときは、いきなり刃を入れるより、最初に「どちらを残すのか」を決めると失敗しにくくなります。
- 切る枝と残す枝を確認する
- 植物に残る側を見極める
- 切り刃を植物側へ向ける
- 枝を刃の適切な位置へ入れる
- 手のひら全体でグリップを握る
- 切断後はゆっくり刃を開く
細い枝であれば刃の中央付近でも切りやすいですが、太くなるほど刃元へ入れます。
枝を挟んだあとに刃が進まないからといって、そのまま左右へこじるのは避けてください。刃や支点へ想定外の横方向の負担が掛かります。
また、切断した枝や樹皮が刃へ挟まったときも、鋏を大きくひねって無理やり引き抜かないこと。いったん握る力を抜いて刃を開き、枝を外します。
太い枝ほど刃元で切る
剪定鋏には支点があります。太めの枝を切るときは、この支点に近い刃元を使うのが基本です。
同じ枝でも刃先で挟むより刃元まで深く入れたほうが力を伝えやすくなります。硬めの枝を刃先で何度も挟んでいるなら、まず枝の位置を見直してみてください。

一方、刃先には刃先の役割があります。込み合った場所へ刃を差し込むときや、細い枝を狙って切るときは先端のほうが扱いやすい場面もあります。
つまり、何でも刃元というわけではありません。太い枝は刃元、細かな作業は刃先も使うと考えると分かりやすいでしょう。
回し切りと横こじりの違い
少し太めの枝について調べると「回し切り」という言葉を見かけます。
回し切りは、枝や剪定鋏との位置関係を少しずつ変えながら刃を進め、切断しやすくする方法です。
ただし、刃が枝へ食い込んだ状態で剪定鋏を左右へ大きくひねり、枝を折るようにこじる方法とは違います。
回し切りと横方向のこじりは別です
刃を横へこじると、刃欠けや刃曲がり、支点の緩み、刃合わせの悪化につながる場合があります。切断できないほど抵抗があるなら、無理を続けるより道具を替えてください。
枝が硬い場合には、枝へ完全な直角ではなく、少し斜めから刃を入れると切りやすいこともあります。ただし「枝は必ず45度で切る」という意味ではありません。
鋏を枝へ入れる角度と、植物に残す切断面の位置は別に考えます。
芽の上と枝の付け根の切り方
剪定鋏の使い方が分かっても、「枝のどこを切ればいいの?」という疑問が残ります。
枝を途中から短くする切り戻しでは、これから伸ばしたい方向を向く芽を探し、その芽の少し上を切ります。
資料によって芽の上3mm程度、5~10mm程度など目安には幅があるため、すべての植物で「必ず5mm」と覚える必要はありません。
芽そのものを傷つけないことと、芽から先へ不要な枝を長く残さないことを意識してください。
芽から離れすぎた場所で切ると、その先端部分だけが枯れ込むことがあります。逆に芽ぎりぎりまで切り詰めると芽を傷める可能性があります。
外芽を使う場合
庭木では、樹冠の外側へ向いている外芽の上で切る方法がよく使われます。切断位置に近い芽から枝が伸びるため、外芽を選ぶと新しい枝を外方向へ誘導しやすくなります。
ただし、仕立てたい樹形によっては内側へ向いた芽を利用することもあります。外芽だけが正解というわけではありません。
枝を丸ごと落とす場合
不要枝そのものを取り除く枝抜きでは、途中に長い切り残しを作らず、枝の付け根付近から切ります。
一方、太い枝では幹へ食い込むほど深く切るのも避けます。枝の付け根にはブランチカラーと呼ばれる部分があり、幹と枝の境界を無視して平らになるまで削り込むような切り方は適切ではありません。
枝の太さや樹種によって適切な位置は変わります。大きな庭木や太枝で判断が難しい場合は、無理に切り進めず、造園業者や樹木管理の専門家へ相談してください。
切れないときは原因を確認する
剪定鋏で枝が切れないと、つい握る力を増やしたくなります。しかし、切れない理由は握力だけではありません。
| 症状 | 確認するところ | 対応 |
|---|---|---|
| 太い枝が切れない | 最大切断径と枝の硬さ | 刃元を使うか別の工具へ替える |
| 以前より力が必要 | ヤニ、樹液、刃先 | 清掃と刃の状態を確認する |
| 表皮だけ残る | 刃合わせや摩耗 | 調整や研ぎを検討する |
| 開閉が重い | 支点や汚れ | 清掃と適切な注油を行う |
| 刃に隙間がある | 支点ネジや刃合わせ | 製品に合った方法で調整する |
支点部分や刃合わせが気になる場合は、剪定鋏の調整と噛み合わせの確認方法も参考になります。
ただし、最大切断径は製品ごとに違います。「剪定鋏なら直径20mmまで」のように一律では決められません。生木か枯れ枝か、樹種、繊維の硬さ、水分量によっても切りやすさは変化します。
正確な切断能力や使用方法は、使っている剪定鋏の取扱説明書やメーカー公式サイトを確認してください。
剪定鋏の使い方|正しい持ち方・切り方と安全な基本操作を解説する実践編
ここからは、安全な作業と道具の使い分け、使用後のお手入れを見ていきます。
剪定鋏は便利な道具ですが、片手で大きな切断力を生み出す刃物でもあります。切り方だけでなく「無理な使い方をしない」ことまで含めて基本操作です。
- 使用前に刃と可動部を確認する
- 反対の手は刃から離す
- 両手で無理に閉じない
- 土や石に刃を当てない
- 高い枝は専用工具を使う
- 移動するときは刃を閉じる
- 左利きは専用モデルも確認する
- 剪定ノコギリとの使い分け
- 使用後は汚れを落とす
- 病気が疑われる枝は消毒する
- 剪定鋏の使い方に関するよくある質問
- 剪定鋏の使い方|正しい持ち方・切り方と安全な基本操作を解説のまとめ
使用前に刃と可動部を確認する
剪定を始める前に、数十秒でもいいので剪定鋏の状態を見てください。
刃が欠けていないか、曲がっていないか、バネが外れかけていないか、支点ネジが極端に緩んでいないかを確認します。
さらに、ストッパーが正常に掛かること、グリップが割れていないことも見ておきたいところです。
刃へ樹液やヤニが固着していると、開閉が重くなったり枝へ刃が入りにくくなったりします。切れ味が落ちた状態ほど大きな力が必要になるため、作業前の点検は安全にもつながります。
切る前に見る4か所
刃、支点ネジ、バネ、ストッパー。この4か所を確認し、違和感がある状態のまま使わないようにしましょう。
反対の手は刃から離す
剪定作業で特に気を付けたいのが、剪定鋏を持っていない側の手です。
枝が動かないように押さえたくなりますが、切断位置のすぐ横へ指を置かないでください。
枝が突然切れた瞬間は、それまで掛けていた力が一気に抜けます。剪定鋏が予想以上に閉じたり、手が前へ動いたりすることがあります。
どうしても枝を支えるなら、刃と切断ラインから十分離れた位置を持ち、枝が切れたあとにどちらへ動くかも考えておきます。
◆Sのワンポイントアドバイス
太い枝ほど「あと少し力を入れれば切れそう」と感じやすいのですが、その瞬間こそ注意したいところです。切れたときの反動まで想像して、抵抗が大きければ剪定ノコギリへ替えたほうが安心です。
両手で無理に閉じない
片手用の剪定鋏を片手で閉じられないからといって、もう一方の手までグリップへ添えて無理やり閉じるのは避けます。
片手用として設計された道具を想定以上の力で扱うと、刃や支点へ大きな負担を掛ける可能性があります。
切断能力を超える枝には、太枝切鋏や剪定ノコギリがあります。柄の長い太枝切鋏ならテコを利用できますし、さらに太い枝なら鋸で少しずつ切れます。
また、剪定鋏で針金、ワイヤー、釘などを切るのも避けてください。ワイヤーカッター機能が明記されている製品を除き、植物用の剪定鋏は枝を切る道具として扱います。
土や石に刃を当てない
地際から伸びたひこばえを切るときは、刃先が地面へ触れないようにします。
土の中には細かな砂や石が含まれています。鋭い刃先を地面へ擦り付ければ、せっかくの切れ味を損ねる原因になります。
枝をできるだけ低い位置から切りたい場合でも、刃先の位置を目で確認しながら作業してください。
同じ理由で、剪定鋏を地面へ放り出したり、刃を開いたままコンクリートの上へ置いたりするのもおすすめできません。
高い枝は専用工具を使う
手が少し届かない高さだからと背伸びをしたり、不安定な台へ乗って片手を伸ばしたりすると、剪定鋏を安全に扱いにくくなります。
高い枝には高枝切鋏や高枝ノコギリを使いましょう。太さがあるなら、長柄の太枝切鋏が向く場合もあります。
また、脚立を使う剪定や大きな枝の切断には落下物の危険もあります。自分で安全を確保できない高さや規模なら作業を続けず、専門業者へ依頼してください。
手袋はトゲや枝先から手を守る助けになりますし、顔に近い高さで枝を切る場合には保護メガネも役立ちます。ただし、手袋を着けていても剪定鋏の刃へ指を近づけていいわけではありません。
移動するときは刃を閉じる
庭の中を移動するとき、刃を開いたまま剪定鋏を持ち歩かないようにします。
作業を中断するときは刃を閉じ、ストッパーを掛けます。長い距離を移動するときや腰へ下げる場合には専用ケースが便利です。
剪定鋏ケースを使えば刃先が身体や衣類へ直接触れにくくなり、工具そのものも保護できます。ケース選びについては剪定鋏ケースと代用ポーチの選び方でも詳しく紹介しています。
剪定鋏を安全に持ち歩くなら
剪定鋏を腰へ下げて作業することが多いなら、刃先を覆える専用ケースがあると移動しやすくなります。手持ちの剪定鋏に合うサイズか確認したうえで選んでください。
使い終わったら、子どもの手が届く場所や屋外へ置きっぱなしにしないこと。刃を閉じてロックし、乾燥した場所で保管しましょう。
左利きは専用モデルも確認する
左利きの人でも一般的な剪定鋏を使える場合はあります。ただ、右手での使用を前提にした製品では、切り刃と受け刃の配置、ストッパーの操作、グリップ形状などが使いにくく感じることがあります。
左手で長時間剪定するなら、左利き用として設計されたモデルも候補です。
無理に右手へ持ち替える必要があるわけではありません。実際に握ったときに安定するか、切断位置を確認しやすいかを優先してください。
なお、すべてのシリーズに左利き用が設定されているわけではないため、購入前にメーカーの商品情報を確認しましょう。
剪定ノコギリとの使い分け
剪定鋏で切れる枝の太さには限界があります。ただし、その限界を「何cm」と共通の数字で決めることはできません。
製品ごとに最大切断径や切断目安が違ううえ、同じ直径でも柔らかい生木と乾燥した硬い枝では必要な力が変わるからです。
片手で普通に握って切れない、刃が途中から進まない、両手を使いたくなる。このような状態なら、剪定鋏にこだわらず道具を替える合図だと考えてください。
| 工具 | 使いやすい場面 |
|---|---|
| 剪定鋏 | 片手で扱える庭木や果樹の枝 |
| 植木鋏 | 細枝や込み合った場所の細かな剪定 |
| 太枝切鋏 | 剪定鋏では切りにくい太めの枝 |
| 剪定ノコギリ | 剪定鋏や太枝切鋏では無理のある枝 |
| 高枝切鋏 | 地上から手が届かない枝 |
重量のある太枝をノコギリで落とす場合も、一度に根元から切断すると枝の重さで樹皮が裂けることがあります。大枝では途中で枝を軽くしてから最後に適切な位置で切る方法が用いられます。
太さや高さによって事故の危険があるため、自分で安全に扱えない枝は無理をしないでください。最終的な判断に迷う場合は、造園業者などの専門家へ相談するのが安心です。
使用後は汚れを落とす
剪定を終えた刃には、見た目以上に樹液やヤニ、植物片が付着しています。
そのまま放置すると汚れが固まり、刃の動きが重くなったり、サビや切れ味低下につながったりします。
使用後は刃に付着した汚れを拭き取り、必要に応じてクリーナーを使います。水分が付いた場合は残らないよう十分に乾かしてください。

そのあと、製品に適した防錆油や潤滑油を刃や可動部へ使用すると保管しやすくなります。
刃物クリーナーや防錆油は剪定鋏を継続して使うなら揃えておきやすいメンテナンス用品です。
剪定後のヤニ・樹液を落とすなら
剪定鋏を頻繁に使うなら、ヤニや樹液を落とす専用クリーナーを1本用意しておくと手入れしやすくなります。清掃後は、使っている剪定鋏に適した防錆油や潤滑油で仕上げてください。
開閉が重い、刃の間に隙間がある、枝の表皮だけ残るといった症状は、単純に研げば直るとは限りません。汚れ、支点、刃合わせ、バネなども一緒に確認してください。
研ぎ直しについて詳しく確認したい場合は、剪定鋏の修理と研ぎ方も参考にしてください。バイパス式は普通の両刃ハサミと刃付けが違うため、擦り合わせ面まで自己流で削らないことも大切です。
病気が疑われる枝は消毒する
剪定鋏は植物の汁液へ直接触れる道具です。そのため、病気に感染した植物を切った鋏をそのまま別の植物へ使うことで、病原菌などを運ぶ場合があります。
すべての健康な庭木について一枝切るたびに必ず消毒する、という単純なルールではありません。ただ、病気が疑われる枝を切った場合や、病害が問題になっている植物を続けて扱う場合には器具の消毒を意識してください。
農研機構でも、トマトかいよう病の二次伝染対策として剪定ハサミの消毒による防除効果が示されています。(出典:農研機構「トマトかいよう病の発生拡大シミュレーションモデル」)
具体的な消毒方法は、対象となる病害や植物によって適切な方法が異なります。農業機関やメーカーなどの公式情報を確認してください。
また、ライターやバーナーで刃を炙る方法を安易に選ぶのも避けたいところです。熱によって刃、コーティング、樹脂部品などへ影響する可能性があります。
剪定鋏の使い方に関するよくある質問
Q1. 剪定鋏の切り刃は上と下どちらですか?
A. 上下だけで決めるのではなく、植物に残す枝側へ切り刃、切り落とす側へ受け刃を向けるのが基本です。枝が伸びる方向によっては剪定鋏を裏返して使います。
Q2. 剪定鋏は裏返して使っても大丈夫ですか?
A. 一般的なバイパス式では問題ありません。枝の向きに合わせて持ち替え、植物に残る切断面へ切り刃が当たるようにします。製品固有の注意事項についてはメーカーの取扱説明書も確認してください。
Q3. 剪定鋏では何mmの枝まで切れますか?
A. 共通の数字はありません。最大切断径や切断目安は製品によって異なり、生木か枯れ枝か、樹種、硬さなどでも切りやすさが変わります。正確な情報は使用している剪定鋏のメーカー公式サイトをご確認ください。
Q4. 太い枝が切れないときはどうしますか?
A. まず枝を刃元まで入れているか、切断能力を超えていないか、刃に汚れや不具合がないかを確認します。それでも片手で無理なく切れない場合は、両手で剪定鋏を無理に閉じず、太枝切鋏や剪定ノコギリへ替えてください。
Q5. 剪定鋏は毎回消毒したほうがいいですか?
A. 健康な庭木を一枝切るたびに必ず消毒するという一律の決まりではありません。ただし、病気が疑われる植物を切った場合や、器具を介して広がる病害が問題となる植物を扱う場合は消毒が大切です。対象となる病害に合った方法を公的機関などの情報で確認してください。
剪定鋏の使い方|正しい持ち方・切り方と安全な基本操作を解説のまとめ
剪定鋏を正しく使ううえで最初に覚えたいのは、残す枝側へ切り刃を向けることです。受け刃は切り落とす側へ配置します。
「切り刃は必ず上」「受け刃は必ず下」と固定して覚える必要はありません。枝の伸びる方向によって剪定鋏を裏返し、植物に残る切断面へ切り刃が当たるよう持ち替えます。
太めの枝を切るときは支点に近い刃元を使いましょう。それでも切れなければ力任せに握ったり横へこじったりせず、枝の太さと剪定鋏の切断能力を確認します。
剪定鋏だけでは難しい枝なら、太枝切鋏や剪定ノコギリへ替えれば大丈夫です。道具を替えることも剪定鋏の正しい使い方の一つだと思います。
安全面では、反対の手を刃と切断ラインから離すこと、片手用剪定鋏を両手で無理に閉じないこと、移動時には刃を閉じてストッパーを掛けることを忘れないでください。
そして使い終わったら樹液やヤニを落とし、水分を残さず保管します。病気が疑われる植物を切った場合には、植物や病害に合った方法で器具の消毒も検討しましょう。
剪定する位置や時期は樹種によっても変わります。高所作業、大枝の切断、病害が疑われる場合など、自分だけでは安全な判断が難しい作業は無理をせず、最終的には造園業者や樹木管理の専門家へ相談してください。
以上、和盆日和の「S」でした。